<全国高校総体>◇30日◇陸上◇奈良市鴻ノ池陸上競技場

 陸上女子走り高跳びで、昨年3位の京谷萌子(恵庭北3年)が1メートル71で初優勝した。同記録で4人が並んだが、決勝3回の試技をすべて1回で成功させ、試技数の差で高校女王の座に立った。同種目の道勢の優勝は1964年(昭39)の天近和子(札幌西)以来、45年ぶり2人目の快挙となった。

 笑顔が抑えきれなかった。優勝が決まった瞬間、京谷が丸い顔をくしゃくしゃにして喜んだ。「3年間思い続けてきたことをやっと実現できた」。自己ベストには2センチ足りなかったが、決勝の試技をすべて1回でクリアする確実な飛躍で女王の座を射止めた。

 1メートル78の自己ベストを持つ湯浅華鈴(長崎・西海学園3年)が予選通過記録に届かず敗退。京谷の自己ベスト1メートル73以上を跳べる選手は消え「もしかしたら」と優勝をイメージした。そこで京谷を指導する北海道ハイテクACの中村宏之監督(64)はVラインが低くなることを予測し「決勝はすべて1本で跳べ」とアドバイス。大一番で1メートル65から、68、71としっかり3本締めを果たした。

 減量苦にも勝った。6月末の道予選ではベストより7キロ重い体重60キロで臨み1メートル69に終わった。そこで昨年末に、中村監督から授かりながら眠っていた2着の減量スーツを取り出し毎日45分間、自転車型トレーニング器具をこぎ続けた。焼き肉店を営む下宿先の家族も野菜主体の食事メニューをつくり協力した。

 周囲の支えが実り、今大会は道予選から3キロ絞り込み、道勢45年ぶりの快挙につながった。それでも中村監督は「もっと絞りこめば1メートル80だって跳べる」とさらなる成長を促す。「今度は1メートル76の道高校記録を超えたい」と京谷。重りをそぎ落とした新女王が、今秋の新潟国体で18年破られていない記録に挑戦する。【永野高輔】