<レスリング:世界選手権>◇10日◇モスクワ

 女子63キロ級の伊調馨(26)が3年ぶりに世界女王に復帰した。北京五輪後にカナダに留学して約1年間充電。世界選手権を2度欠場したが、各ピリオド残り30秒から攻めて「1-0で取る」堅実さは以前のまま。決勝の第2ピリオドも終盤、片足タックルからの攻撃でものにした。それでも「優勝してうれしいけど自分のレスリングの半分も出せていない。(出来は)15%」と厳しかった。

 これまで抜群のセンスの良さで頂点を極めたが、最近は男子との練習を重ね論理的な戦い方に目覚めた。「昔は本能だけでやっていた。今は相手の利き手とか利き足を考えながらやっている。初心者のようになった気持ちで、レスリングが楽しい」と話す。北京五輪後、姉の千春が高校教諭となり今は戦列を離れているが、「心の中で一緒に戦っている。君が代を聞いて千春を思い出した」。ロンドン五輪に向け、1人で取り組む26歳は大舞台で進化の1歩を刻んだ。