日本相撲協会の特別調査委員会が、過去の八百長問題についても調査を始めたことが11日、分かった。放駒理事長(62=元大関魁傑)は過去にはなく、新たな問題だと強調しているが、調査委は今回と過去の関連性に注目した。調査委は今日12日で、メールで名前が浮上した14人以外の全関取への1回目の調査を終了する。

 10日に都内のホテルで聴取を受けた有名力士の関係者が明かした。この力士は以前、すでに解雇された元力士から八百長相手として実名告白された力士のうちの1人。調査担当者から、当時のことを引き合いに出され「あの時、名前が挙げられたけど、本当に(八百長を)やってないんだろうね?」と質問された。

 元力士はその後、八百長告発は虚偽だったとする陳述書を提出している。今回、過去のことを聞かれた力士は「やっていません」と、関与をきっぱり否定した。過去の問題についても聞かれたため、通常は1時間程度の聴取が約2時間もかかったという。

 放駒理事長は、2日の会見で「(八百長は)過去には一切、なかったことであり、新たに抱えてしまった問題だと私は認識しています」と強調した。この見解とは別に、調査委は事情聴取で、過去の疑惑との関連性も調べていた。八百長問題の徹底究明のためには不可欠だが、あくまで現役力士が過去に関与を疑われたケースに限られる調査とみられる。

 また、聴取の方法も明らかになってきた。預金通帳を任意提出したある力士によると、振り込んだ項目、振り込まれた項目については「これは、何のためのものか?」「相手は何の会社、組織なのか?」などを、つじつまが合うように1つ1つ細かく聞かれたという。

 この日調査委は、都内のホテルに大関日馬富士、幕内安美錦、栃ノ心らを呼んで、事情を聴いた。メールなどで名前が挙がった14人以外の対象者75人のうち、70人への1回目の聴取が終わった。今日12日に残り5人も聴き終え、調査結果をまとめる。だが、14日の臨時理事会に全容を解明したと報告するのは難しいとの認識を示した。次の理事会では4人の処分が決まらない見通しとなった。

 提出を受けた携帯電話はまだ調査委の手元にあり、解析する業者には渡っていない。過去への疑惑に踏み込むケースもあるなど、全容解明への道のりは、まだまだ長く続いている。