横綱白鵬の付け人を務める、三段目の光法(29=宮城野)が17日、都内のホテルで、大相撲の八百長問題を調査する特別調査委員会から事情聴取を受けた。光法は、同日発売の週刊誌で八百長のとりまとめ役とされている。調査委は、週刊誌などの情報も参考に、当初の98人よりも調査対象を拡大していることを明かした。その中で、現在6連覇中の現役トップに最も近い人物にまで、調査が及ぶ事態となった。

 都内のホテルから午後6時すぎに宮城野部屋に戻った光法は、タクシーを降りると足早に玄関に入った。無言を貫いていたが、過熱する報道について「ビックリしています」とだけ答えた。この日発売の週刊新潮が、白鵬の取組の一部に疑問を投げかけるなど、週刊誌上で現役トップへの疑惑が報じられた。白鵬本人は体調不良で稽古を休んだが、光法は都内で特別調査委の事情聴取を受け、周辺は騒がしくなってきた。

 相撲協会関係者によると、調査委の光法への面接は約1時間。光法は八百長への関与を否定したという。調査委はメールで疑惑が浮上した14人のほか、09年九州場所以降に1度でも、十両以上の番付を経験した力士78人を対象に事情聴取を行ってきた。場合によっては再度聴取し、八百長についてうわさなどを聞いたことがあるとアンケートで答えた6人の相撲協会員にも事情を聴く方針。計98人以外で面接を受けたのは、光法が初めてとみられる。

 従来は98人以外の調査対象はいないと思われていたが、調査委はこの日「98人に限定されておりません。さまざまな情報から事情聴取の必要性があると判断をした者から、事情を聴取しております」と調査範囲が拡大するという考えを示した。さらに調査委は、これまで週刊誌報道を参考にするとは言っていなかったが「新聞、週刊誌の報道なども基礎資料としております」という方針を明かした。

 情報提供を求める「ホットライン」が16日に始まり、調査委の聞き取り調査では、既に14人以外の関与を示す証言も出てきているという。望月浩一郎委員(弁護士)は聞き取り対象者数について「14人で終わるとは思っていない。もっと広がると思う」と、増える見通しを示した。

 八百長は当事者同士のやりとりだけではなく、仲介役がいることは、今回発覚したメールからも明白。相撲協会関係者によると、週刊誌報道で星のやりとりの仲介役とされた力士が、光法とみられることが聞き取りの理由だった。調査委の伊藤滋座長は「徹底的にやる」と明言している。

 これまで八百長問題は、十両を中心に疑われていた。物証として出てきたメールも、十両での取組だった。だが白鵬に最も近い人物が事情聴取を受けたことで、調査委が幕内にも疑惑の目を向け始めていることも判明。八百長問題は、さらに広がりを見せ始めた。