阪神が代打高山の劇的な満塁弾で今季5度目のサヨナラ勝ち。逆転勝ちにつなげた要因に、鉄壁のリリーフ陣の存在がある。日刊スポーツ評論家の山田久志氏が解説した。

   ◇   ◇   ◇

阪神は「巨人にないもの」を武器に競り勝つことができた。最後は代打高山の満塁本塁打でサヨナラ勝ちを決めたが、青柳からつないだリリーフ陣の粘りが巨人にプレッシャーをかけたといえるだろう。

逆に巨人はリリーフで逃げ切れない不安材料がもろにでた。8回はまったく制球の定まらない沢村がマルテに同点2ラン。巨人は頭が痛いだろうが、この時点でリリーフが強い阪神に流れは傾いた。

阪神としては、競った展開に持ち込めば、勝ちに結びつく確率が上がるのはこの一戦が示している。負けているゲームも、島本が完璧に抑え、守屋が最少1点で踏みとどまったのは大きかった。

ただ、8回に守屋が丸のソロ本塁打で2点差に引き離されたのは経験の浅いところだった。先発青柳が1回丸、3回坂本に許した2本塁打も2アウトからで今後の反省材料になったはずだ。

特に守屋が左越え本塁打を浴びた丸の心理は、リードを許していれば出塁に徹しただろうが、自軍がリードしていたから内角はないと読み、外寄りの球に思い切って踏み込んでの長打狙いだったはずだ。

そのあたりの打者との駆け引きは、この経験を次に生かしてほしい。いずれにしても、阪神はビハインドの展開に投入するピッチャーでもうまく起用していけば貴重な勝ちを拾っていくことができる。(日刊スポーツ評論家)