ヒーローインタビューというのは、選手にとってありがたい場だ。自分がどういう個性の持ち主か、ファンの人に伝えることができる情報発信の場だからだ。選手それぞれのキャラクターもあるから全員とは言わないけれど、アピールの場は最大限に生かすべきだ。そう思って一時期はいろんな選手のヒーローインタビューを見て研究していた。

中でも巨人岡本のヒーローインタビューは良かった。「ジョニー・デップです」と笑わせるなど、ファンの心をつかんでいた。基本的に活躍した選手が上がる場所で、批判を受ける場所ではないという追い風もある。選手はどんどん思いきったことをやるべき。私は歌わせてもらったことがあるが、ファンとの一体感を得られて最高だった。

ロッテのスペシャルアドバイザーという肩書も持っているので、ロッテの選手は頑張っているかどうか、特に気にしていた。角中などボソッと話す言葉が面白く、キャラクターにもマッチしている。自分に合った形を見つけられれば、ヒーローインタビューが面白くなる好例だ。

私は03年5月4日のダイエー戦で初めてヒーローインタビューを受けた。祖母が亡くなった翌日の延長11回、代打の代打で決勝適時三塁打を放った。うれしさと悲しさとが込み上げて、一気に話をしたら、日本テレビの「えらい人グランプリ」という番組で取り上げてもらえた。今思えば、盛り上げてみようとか、そういう意識なしに本音だけで話した唯一のヒーローインタビューだったと思うが、野球人生の中で、何かのきっかけになるような出来事だった。

人間性をファンに知ってもらってこそ、人気も上昇する。ファンサービスの一環でもあり、自分のためにもなること。選手たちには、気持ちが伝わるよう、しっかりと自分の言葉で話してほしい。(日刊スポーツ評論家)