高橋というピッチャーにはポテンシャルの高さを感じるだけに、どうしても注文をつけたくなる。勝つには勝った。しかし、もうちょっと苦労しないといけないな。

わたしに言わせると、うまく打ち取ろうとし過ぎている。あれだけ良質なストレートを投げることができるのに、なぜもっとそれに磨きをかけようとしないんだろうか。

10月5日の巨人戦(甲子園)でプロ初完投、14三振を奪って4勝目を挙げたのは、捕手坂本が「緩」を駆使しながら“違う高橋”を引き出した1勝だった。

高橋がこういう投球もあると認識できたのは収穫だが、それは彼本来の姿ではないはずだ。この日の巨人戦も、捕手の坂本と4勝目のイメージの投球を追いかけているようだった。

もしそうだとしたら、それはちょっと方向性が違っているよね。6回89球のうちストレートは36球だったようだが、もっとストレートで勝負しないといけなかった。

中日大野雄だって、3つの球種だけであれだけ投げるんだよ。高橋にはもっとシンプルに投げてほしいね。他の投手には言わないさ。高橋はそれができる数少ないピッチャーなんだから、まとまっちゃいけないよ。

打たれるのを怖がってはいけないし、真っすぐを打たれたら、もっといい球を投げる努力をしたらいいんだ。こぢんまりしたピッチャーになってほしくないね。

(日刊スポーツ評論家)