15年から解説者となり、日本ハム栗山監督の野球を見てきた。自分なりに栗山監督の功績を考えてみたい。

まずは形にとらわれない野球をする。常々、常識を疑えとおっしゃっているが、いつも新しい何かを生み出そうと考えていた。勝負の世界で新しい試みをするとき、批判はつきものだが、ぶれずに10年やり続けた。そこにすごみを感じた。

新しい試みとして、もちろん大谷の起用法が印象的だったが、それだけではない。力があるのに成績が伴わない選手にはポジションを替えるなど、大胆な試みをしていた。例えば16年には抑えの増井を先発に転向させた。これはなかなかできることではない。選手が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう探りながら、いい道があればそこを歩ませようとする監督だった。

采配面では野球のセオリーから、この場面はこの作戦だろうという常識にとらわれず、思い切ったことを仕掛けた。相手チームは裏をかかれることも多かったはずだ。ここ数年、攻撃の戦力が乏しく、チーム成績も低迷している。そういうとき、チームの雰囲気は悪くなりがちだが、栗山監督は選手たちがやりにくい環境をつくらないよう努めていたことも忘れてはいけない。(日刊スポーツ評論家)

日本ハム対西武 退任する栗山監督はスタンドのファンに手を振る(撮影・黒川智章)
日本ハム対西武 退任する栗山監督はスタンドのファンに手を振る(撮影・黒川智章)