ロッテ佐々木朗希の攻略の糸口はある。阪神でヒットを放ったのは2安打の糸原を始め、島田と中野。3人ともコンパクトに振れるタイプだ。佐々木朗はこのタイプの打者に安打を許すことが多い傾向にある。今季、安打を打たれた計25人の打者のうち12人はこのタイプに分類される。

被安打の打球方向にも傾向がある。被安打33のうち、内野安打を除けば、被安打24はセンターから逆方向へと打たれている。当然、160キロ台の直球と140キロ後半のフォークを引っ張るのは容易ではなく、自然とこういう打球傾向に落ち着くとも言える。それでも阪神の3人が放った4安打がセンターから逆方向に集まっているのは、攻略のヒントになる。

この日は6回90球で降板となった。打者一巡目の9人で40球、2巡目で38球だった。1人あたり1打席4球。これを何とか粘りながら1打席5球程度に増やし、1巡目で45~50球は投げさせたい。言い方は良くないかもしれないが、佐々木朗の疲れを待つのも一手となる。球数がかさめば、チャンスも出てくる。中軸の選手が自身のスタイルを崩してまで、コンパクトにスイングすることはしなくていいと思う。だがわずかな意識でも持つことで、ファウルでしのいで、次の展開が変わる可能性はある。

佐々木朗の状態はかなり悪かった。直球はほぼシュート回転していた。左打者の内角を狙った球が逆球となり、逆方向に打ち返しやすい外角高めに集まった。カーブも2球程度。ほとんど直球とフォークだけ。それでも無失点に抑えてしまうところに、すごさをまた感じる。

良い意味で、しのぎを削りあって欲しい。打者が何とかしようとコンパクトに中堅から逆方向に打ち返し続ければ、佐々木朗と松川のバッテリーも対策を考えるだろう。それをさらに打者が上回れるか。完全試合を喫したオリックスも、2度目の対戦では5回までに6安打を集めて2得点を奪った。双方のレベルアップに間違いなく、つながってきて財産となる。(日刊スポーツ評論家)