東浜は抜群に良かったし、ほとんどスキのない投球で阪神打線が攻略するのは難しかった。真っすぐとウイニングショットのシンカーを低めに決められ、ゴロを打たされた。ヒットは出てもここぞで芯を外され、連打をさせてもらえない。失投らしい失投がなかったし、6連勝で好調だった打線でも得点を奪うのは容易ではなかった。東浜の投球をたたえるべきだろう。

ただ、相手が良かった、脱帽ですで終われば、上位浮上は望めない。完封負けが14度目で、うち半分が0-1で負けている。これは首脳陣のフォローが足りないからだろう。相手が少し格落ちしたり個々の状態がいい時は、昨日までみたいに選手任せでカンカン打てる。でもいい投手が来た時にどう攻めるか。どう1点を取りにいくか。その部分が選手任せになっていることが、0-1負けの多さにつながっていると感じる。

極端にいえば、あるイニングは3人全員セーフティーバントをしてもいい。巨人が先日、ロッテ佐々木朗を崩して初黒星をつけたようにね。盗塁、エンドランも仕掛けたい。相手の警戒が厳しい時は、行くぞ、走るぞの姿勢だけでもいい。円陣を組んだその回は、初球打ちをやめて2ストライクまで待つとか。相手がスイスイ投げている時ほど作戦や心理戦で揺さぶり、リズムを崩したい。打者に集中させず、甘い球を引き出す。その作業を積み重ねないと失投も出てこない。リリーフ陣も含めて投手陣がいいだけに、1点でも取れば展開は全然変わってくる。

7回を1失点にまとめた西純は、勝ち投手にふさわしい内容で立派に役割を果たした。チームは今季、1点差試合が9勝17敗。総失点を総得点が11点も上回り、青柳と西勇が防御率1、2位の位置にいながら、最下位という極端過ぎる“投高打低”になっている。0-1負けに象徴される1点差負けを減らすことが急務の課題で、それは首脳陣のベンチワークにかかっている。相手がいい投手の時ほど、手を替え品を替え作戦を工夫する。1-0勝ちを増やし、1点差試合の勝敗を逆にしていくぐらいでないと、上位浮上は望めない。(日刊スポーツ評論家)