阪神が今季2度目の先発全員安打で2連勝を飾った。中日先発福谷を打ち込み、4試合連続の2ケタ安打。6月2日西武戦以来の先発全員安打となった。日刊スポーツ客員評論家の吉田義男氏(88)が解説した。
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広島に1つも勝てなかった虎は、中日に連勝して再び“頭”をもたげた。カード初戦は競り合ったが、雨まじりのこの日は大勝した。
吉田 大きく勝ち越した交流戦を契機に、阪神は見違えるようなチームになりました。まさに生き返ったといえますわ。広島戦は少なくとも1つは勝てたからもったいないが、この一戦をみていると絶好調だ。特に近本、佐藤輝、大山のクリーンアップの3人が、4回までに9打席立って8度も出塁してるんですから負けるはずはなかった。
中日福谷が降板する4回まで11長短打に5四球、3犠打飛を絡めて9点でKO。ただ明暗を分けたのは雨天中断から再開した2回だ。1点リードの2死三塁、島田の正面に転がった遊ゴロを三ツ俣がはじいて1点が入ると、近本、佐藤輝、大山の3連打でさらに2点を加えた。
吉田 相手のミスに付け入ったというと聞こえはいいが、中日の自滅でした。ツーアウトからエラーで点が入るのは、本人はもちろん、ベンチにとって一番こたえる。中日からすると0対1で終わっていたのに、さらに3点を失ったのだから痛い。ただ阪神にもいえることだが、内野の要を守るショートとして、雨だ、風だなんて言い訳にはできませんから。それとわたしはずっと近本は3番タイプでないから1番に推してきたが、もうそんな気がないようだから、これからは言わないことにしました。
交流戦明けは4勝3敗1分け。来週末は再び中日と敵地での3連戦が組まれているから、ここは勝ちきっておきたい。
吉田 大山は左ヒジが上がらなくなったし、佐藤輝もホームランはでないがボールを振るのが少なくなってきた。今のチーム状態なら新外国人打者もアテにしなくてもいい。またそれぐらいの勢いで、あれよあれよという間に優勝争いに絡みたい。無心になって戦うことです。
【取材・構成=寺尾博和編集委員】