中日の高橋宏斗投手(19)は将来、ドラゴンズのエースになる投手だと思っている。

だからこそ、DeNA戦の投球がもったいなく感じる。

右打者の内角をなぜ、攻めないのだろうか。捕手が内角に構えて、狙って投げたのは初回の牧に対して、2-2からボールとなった1球だけだった。シュート回転して結果的に内角球になったのは数球あったが、意図してはいなかった。150キロ中盤の速球の幅を広げるためにも投げる必要があるし、投げられないのであれば、練習を積んで少しでも試合の中で投じなければならない。

一方で、140キロ台のスプリットを右打者の内角低めに狙っていた。外角に投じると、打者がボールとの距離が取れる分、見極められやすくなる。打者の目線に近い内角なら振りやすくなるが、それなら余計に直球も内角に投げないと効果が薄れる。直球を満遍なく投げておけば、同じ軌道から落ちるスプリットにはさらに手が出る。そもそも、スプリットが内角に投げられるのなら、直球も普通は投げられると思う。

右打者の内角に投げないことに加えて、首をかしげたくなる配球が多かった。3回、先頭の柴田に初球、カーブから入った。まるでクリーンアップに対して意表を突くような配球だった。直球狙いを感じていたのかもしれないが、広いバンテリンドームで柴田なら長打の心配はない。先頭とはいえ、最悪安打なら仕方ないと割り切れるし、高橋宏の球威なら打ち損じは十分に起こせる。

4回2死一塁でも5番宮崎にカーブを2球続けて、三遊間を破られた。初球のカーブは外角に外れたため、手は出してこなかったが、打ちにかかっていた。捕手の木下も含めてバッテリーとして気配を察してほしかった。

序盤から窮屈な配球を続けたことで勝負の打者3巡目で手詰まりを起こすことになる。球数がかさみ、球威が落ちて、見極められてしまう。109球に達し、7回1死満塁のピンチで交代となった。岡林の好守で切り抜け、勝利投手になったが、もっと自分のペースで長いイニングを投げられたはずだ。

DeNAとは今季4度目の対戦で以前のデータを元に攻めたのかもしれない。私自身が考える点がすべて正解だとは思わないが、それでももっと自然に解答が導ける。ものすごい投手に成長する可能性があるからこそ、高橋宏が自ら相手打者を観察して、組み立てるようになってほしい。(日刊スポーツ評論家)

中日対DeNA 4回表、力投する中日先発の高橋宏(撮影・森本幸一)
中日対DeNA 4回表、力投する中日先発の高橋宏(撮影・森本幸一)