現役時代は近鉄一筋17年で4度の盗塁王に輝き、オリックスで監督を務めた日刊スポーツ評論家の大石大二郎氏(64)が試合をチェック。この日、DeNAがCS進出を決め、阪神がファイナルステージで戦う相手は2位広島か3位DeNAに絞られたが、仮にDeNAが勝ち上がった場合は難敵になると警鐘を鳴らした。【聞き手=松井清員】

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DeNAがファイナルステージに勝ち上がってきた場合、阪神には非常に厄介な相手になりそうだ。CSの舞台になる甲子園での対戦は4連勝後5連敗で終了。嫌なイメージをなくすべく大事な最終戦だったが、カード5連敗で対戦成績も13勝12敗でほぼ五分になった。DeNAにも、阪神への苦手意識はないだろう。阪神に1勝と先発投手のやりくりでアドバンテージがあるが、勝ち上がってくるチームには勢いがある。7発23打点を献上している牧という天敵もいる。試合間隔も空いて迎え撃つ阪神は、大きく勝ち越している広島よりも相当嫌なはずだ。

DeNA戦は先発起用にも悩みが出るかもしれない。青柳はこの日の投球次第では、3戦目の可能性があったように思う。大竹はDeNA戦が3試合で1勝1敗、防御率4・86でセのカード別で一番よくない。この日の青柳が良ければ初戦から村上、伊藤将、青柳、大竹の右左右左を並べるプランが本線だったのではないか。でもこの日の内容で青柳の起用は難しくなっただろうし、西勇や第2先発プランがある才木も含めて考えどころになるだろう。

3番起用にも悩みが出そうだ。森下は5回無死満塁など全くタイミングが合っておらず3の0、2三振で途中交代となった。ボールゾーンからボールになる変化球を振らされるのは、ボール自体が見えていないから。岡田監督がCSまでの間に打撃の「突貫工事」を予告しているのは、3番で使いたいからだろう。恐らく前試合に続くこの日のスタメンがCSを見据えたベストで、残り試合で良い感覚をつかみたかったはず。でもこの状態では小野寺の選択肢も出てくるだろう。

CSの相手になるかもしれない30日からの広島2連戦も重要な前哨戦になる。優勝決定後は4勝7敗1分けで借金3。CSを勝ち抜くためにも「俺たちは負けないんだ」という精神的強さも取り戻す必要がある。

DeNA対阪神 5回、交代を告げる阪神岡田監督(撮影・藤尾明華)
DeNA対阪神 5回、交代を告げる阪神岡田監督(撮影・藤尾明華)
DeNA対阪神 4回裏DeNA1死一、三塁、関根に適時打を浴びた青柳(撮影・江口和貴)
DeNA対阪神 4回裏DeNA1死一、三塁、関根に適時打を浴びた青柳(撮影・江口和貴)