7月はこの日の勝利で4勝8敗。独走してきたソフトバンクに陰りを感じる。果たして失速は何が原因なのかを吟味し、言えることは1つだけ。相手に負かされているのではない、ということだ。
この日はひとえに先発有原の抜群の安定感によるところが大きい。球界でも特長的なピッチングスタイルを備える。
左打者には内角にカットボールと真っすぐで強弱をつけてからチェンジアップ。5回2死一塁、藤原をチェンジアップで空振り三振に仕留めた場面がまさにこのパターンだった。
右打者には内角のツーシームと真っすぐで緩急を使い、最後はフォークがオーソドックスな組み立て。4回2死一、二塁で中村奨は内角真っすぐで見逃し三振。有原は持ち味を十分に発揮した。
今のソフトバンクにはこの姿勢がもっとも欠けている。自分の役目を確実に果たす、これに尽きる。つまり、打たれた、抑えられたという相手ありき以前の問題で、敵は自分たちにある、ということだ。
前日の試合でもロッテがくれた2四死球から今宮が先制適時打を奪いながら、その後まさかの3個の押し出し四球で逆転負け。この日も、メルセデスが2回に2四球で苦しむ中、甲斐は送りバントを失敗。それもフェアゾーンの打球に触れ守備妨害でまさかのアウトとなった。
恐らく、セーフティー気味の意識があったのだろう。だが、そもそも確実に送るのが甲斐の役割だ。俊足周東ならばまだ分かる。何を焦っているのだろうと、見ていて歯がゆかった。
今はオスナを欠き、主軸の柳田も故障で戦列を離れる。だが、代わりの選手が十分に働き、チームの力は決して落ちてはいない。それだけにこの失速は、いかに、相手のミスに合わせているかだ。ミスをミスで返している。相手に負けるのではなく、自分たちの力を出さずにミスで苦しんでいる。
球団の前身、南海でも活躍し、指揮も執った元ヤクルト監督の野村克也さんのあの言葉を、しっかりかみしめてほしい。「負けに不思議の負けなし」。有原の好投で勝った今こそ、ここまでのふがいない足取りをしっかり見つめ直すべきだろう。
負けが込んで苦しんでいるのは、本来の姿を見失っているからだ。この敗戦の鉄則を思い起こし、戒めとすべき意味ある1勝にしてほしい。(日刊スポーツ評論家)




