混戦のセ・リーグもいよいよ大詰めを迎え、阪神と巨人の2連戦を迎えた。前日の試合で阪神はDeNAに延長戦で競り勝ち、巨人は広島を相手に終盤の3点差を引っくり返されての逆転負け。好対照の“流れ”があった。巨人にしてみれば、この“悪い流れ”をどこで断ち切るかが、勝負のポイントになると思っていた。

阪神の先発・才木の調子はそれほどよくなかったが、巨人も再三巡ってきたチャンスを逃していた。嫌な流れは続いていたが、1点をリードされた6回表だった。無死満塁という大チャンスで、今試合前まで才木を通算23打数7安打(3割4厘)と打ち込んでスタメン出場した長野を迎えた。

才木との相性通り、ここまで長野は2安打していた。チームに悪い流れがあっても、長野だけは“流れ”に乗っている選手。もともと思い切りのいいタイプであり、またとない絶好のチャンスで、悪い流れを断ち切る絶好のチャンスでもあった。

ここで阪神の内野はゲッツー態勢。犠牲フライでなく、ゴロを打っても併殺の間に1点が入る確率は高い。このようなケースの初球、バッターはストライクゾーンでも「しっかりと打てる球」を待つ。しかし長野が打った初球は内角高めの149キロの真っすぐ。パワーピッチャーの才木がもっとも威力を発揮する球だった。長野は思いきり差し込まれ、最悪といっていいピッチャーフライに終わった。

無死満塁は最初の打者が大事で、プレッシャーが倍増したのは次打者の坂本だった。ただでさえ、ここまでの坂本の2打席は、ともに走者を置いた場面で凡退している。阪神の内野は引き続いてゲッツー態勢。今度は併殺では得点できないため、打者は「犠牲フライ」を念頭に高めに備える。坂本はセオリー通りに初球の低めの真っすぐを見逃してボール。バッティングカウントになった。ここで阪神バッテリーは力勝負。ど真ん中の148キロの真っすぐを打ちにいった坂本だが、セカンドへの内野フライに倒れた。

言葉にすると厳しくなってしまうが、絶好調だった長野は調子に乗りすぎ、「備え」を忘れてしまった。狙いは間違っていなかった坂本だが、プレッシャーに押しつぶされるように絶好球を打ち損じた。チームに流れる悪い流れは、どこまでも続いてしまうような試合展開で、完封負けを喫した。

23日の試合に阪神が勝っても、勝率で巨人が上回り、ゲーム差なしの首位はキープできる。しかし、阪神が勝てば、この流れはますます勢いがつきそう。阪神の先発は高橋で、ここ数試合を見る限り、内容は阪神投手陣の中でもトップクラス。優勝争いは、まったくの互角の戦いになった。

大混戦で盛り上がってきたセ・リーグの優勝争いも、残りはわずか。ここまでも大いに楽しませてもらったが、最後の直接対決で大一番を迎える。これぞプロ野球といった白熱した試合を、私も楽しみにしている。(日刊スポーツ評論家)

阪神対巨人 6回表巨人1死満塁、二飛に倒れる坂本(撮影・江口和貴)
阪神対巨人 6回表巨人1死満塁、二飛に倒れる坂本(撮影・江口和貴)