形なんか、どうでもいい。最後は気持ちだと、巨人坂本のヒットが思わせてくれた。4回2死一塁で阪神門別に3球で追い込まれながら、フルカウントまで粘り、スライダーをバットの先に当てた。左翼線に落とす執念の一打が、ドームの雰囲気を変えた。投手の山崎がつなぎ、泉口、キャベッジの連続タイムリー。まだまだ、坂本はこのチームに必要だと感じた。
昨季は打率2割3分8厘。この言い方が正しいかは分からないが、少し衰えを感じた1年だったと思う。だが、今春キャンプを見に行ったら、去年よりも動けていた。バッティングの状態も良かった。ただ、オープン戦で次の段階に上がってこなかった。年齢に伴う体の変化にアジャストできていないのだろう。
長くプレーする選手は誰しもが通る。バッターは投手の投げた球を目で捉え、バットを出す。年齢を重ねると、そこに、どうしてもズレが生じていく。若い頃であれば、振り込んで体のキレを取り戻すことで反応が上がる。それが、簡単にはかなわなくなる。ならば、工夫するしかない。
坂本自身、昔よりもスタンス幅を広げて体の動きを小さくしたり、構え方やタイミングの取り方を変えたりしている。その工夫が、いつうまくいくかの勝負。この日も納得できるスイングがいくつあったか。それでも、繰り返しになるが、気持ちが体を動かした。
阪神に負け続け、岡本まで離脱。もう負けられない状況で、坂本の執念が大きな1勝をもたらした。とはいえ、チームは随所に甘さが見られる。前日の4失策に続く2失策。2回の吉川の悪送球は全力プレーで、しょうがない面はある。プロである以上、技術を磨いていって欲しい。いただけないのは、3回のヘルナンデスのファンブル。すきがあったと思わざるを得ない。というのも、失策の後、1死二塁となって大山の中飛で二塁走者の森下に簡単にタッチアップを許した。走られると思っていない捕り方だった。滞空時間の長いフライで、後ろから入って捕れば、二塁走者を走らせないことはできた。
5回の森下に打たれた2ランは、フルカウントからの真っすぐ。直前も真っすぐだったが、外いっぱいのいい球がボール判定。その状況で同じ真っすぐを要求しても、真ん中に入る可能性が高い。違う球種を選択した方が抑える確率は高かったのではないか。
巨人は勝ちはしたが、勝負どころでどう抑え、守り切るか。突き詰める必要がある。(日刊スポーツ評論家)




