楽天元監督の平石洋介氏(45)が、楽天-ソフトバンク戦(みずほペイペイドーム)を評論した。楽天は1-2で敗れたが、決勝点の取られ方が悔やまれると指摘。守備における優先順位の誤りがあった。一方で、リリーフ陣の好投を評価。2000安打まで残り2本で足踏みが続く浅村栄斗内野手(34)の状態も悪くないとみる。
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楽天は非常にもったいない点の取られ方だった。内が2回に早々と危険球退場となったが、松井をはじめリリーフ陣が試合をつくっていた。それだけに、決勝点の失い方が悔やまれる。
5回1死三塁で栗原のゴロは、一塁阿部のほぼ正面に飛んだ。三塁走者の佐藤直はギャンブルスタート。阿部は捕球後、すぐに本塁へ返球するのではなく、1歩だけ一塁ベースの方に進んでしまった。すぐに本塁返球に切り替えたが、送球が打者走者の栗原に当たり、佐藤直の生還を許した。
栗原はアウトになったが、阿部のミスと言っていい。「優先順位」を間違えた。
同点の1死三塁で内野は前進。打球は強いゴロ。当然、捕球したら三塁走者の生還を阻止すべく、本塁へ投げないといけない。しかも、ゴロの前に栗原がファウルを打った際も佐藤直はスタートを切っており、生還を狙うことは阿部の頭にもあったはずだ。
にもかかわらず、なぜか阿部は一瞬、一塁の方に進んでしまった。捕球位置の真横に一塁ベースがあれば、踏んでから本塁に投げ併殺を狙うケースもある。この場合は、そうではなかった。すぐに本塁返球に切り替えたが、本来は本塁に向かってステップを踏みながら投げる。一塁を踏む動きをした分、時間をロスし、十分にステップを踏めずに開き気味の上体だけで投げる格好となった。そのため、送球を引っかけ、打者走者に当ててしまった。
仮に栗原に当てていなくても、引っかけた分、三塁走者はセーフになったと思う。いずれにせよ、阿部が、すぐに本塁へ投げていれば、生還は阻止できた可能性が高い。なぜ、一塁を踏む動きをしたのかは本人に聞かないと分からない。阿部が一番悔しいと思う。今後の糧にして欲しい。
守備のほころびは直前にもあった。佐藤直は右翼フェンス直撃の三塁打。中島の打球の追い方が中途半端だった。もしかしたら、中島のイメージ以上に打球が伸びたのかもしれないが、早めにクッションボールの処理に入っていれば、佐藤直は二塁で止まっていただろう。結果、栗原の一ゴロによる決勝点もなかった。
中島は2年目。私も外野手だったので分かるが、若い選手ほど頭上を越える打球を捕ってやろうと思うもの。もちろん、外野手の見せ場でもあるが、時に勇気をもって諦めることも必要だ。難しい判断が求められるところだが、球場の広さ、フェンスの高さ、形状、前だけでなく後ろ、つまりフェンスまでの距離感など、頭に入れるべきことは多岐にわたる。みずほペイペイドームで守った経験が浅いというのは、言い訳にはできない。
阿部にしろ、中島にしろ、守備の選択肢を間違えた。その結果の失点となってしまった。対照的に、ソフトバンクは6回無死一塁で、中堅の佐藤直がフェンスにぶつかりながら小森のフライを捕るスーパープレーをみせた。1点差の場面。あれがなければ、試合は分からなかった。
楽天は敗戦でも、悪いことばかりではない。リリーフ陣がよく投げた。特に渡辺翔は状態が上がっており、継投の選択肢が増えそうだ。
この日も浅村はノーヒットだったが、決して状態は悪くない。試合前の練習を見たが、バランスよく振れており、この数日でさらに良くなっている。普通にやれば、2000安打達成は近い。(日刊スポーツ評論家)




