楽天元監督の平石洋介氏(45)が楽天-阪神3回戦(楽天モバイルパーク)を評論した。黒川史陽内野手(24)のサヨナラ打で今季最多タイ4連勝。交流戦の勝敗を6勝6敗の五分に戻した好調の要因を分析する。
◇ ◇ ◇
楽天は連日の劇的勝利となった。4連勝を振り返ると、投手は先発、リリーフともよく頑張った。野手も粘り、好守も続いた。全員の力が合わさった勝利だ。
転機は、4連敗を喫した11日の中日戦にあるとみる。3回表までに7点をリードされる一方的な展開だった。ところが、3回裏から反撃開始。最終的には3点差まで追い上げた。好投手の涌井に対し、大差がついていても各自が打席で粘り、5回までに4点を奪った。それを見て、きっかけになると期待を持てた。すると、翌日の中日戦で岸が7回をピシャリと抑え連敗を止めた。そこから阪神戦3連勝、しかもうち2回がサヨナラ勝ちという勢いにつながった。
40歳の岸が黙々と投げる姿に、野手も思うところがあったのではないか。チームが1つになったように感じる。1番村林も機能している。11日まではクリーンアップだったが、やはりチームで一番打っている打者を、もっとも打席が回る1番に置くのは合理的。投打がかみ合い始め、流れが良くなった。そこに14日の石原や、この日の黒川といった日替わりヒーローが生まれ、若手とベテランの力が合わさり、連勝が続いている。
もし11日の中日戦で、野手が大差に気を抜いたままだったら、その後の連勝はなかったと思う。ここから言えるのは、どんな展開でもすきを見せてはいけないということ。また、シーズンの先も見据えて選手1人1人が、またチームとして、常に最善手は何かを考えないといけない。
そういう意味で、この日の継投に触れたい。先発の藤井は6回3安打無失点で交代した。右打者の内角を突き、ゾーンの左右を使って持ち味を発揮できていた。球数は103球。これまでも7回ぐらい、100球前後での交代が多く、いつもどおりの起用ではある。加えて、前日までと変わって気温が上昇し、湿度も高かった。もしかしたら体調面の理由もあったかもしれない。だが、体調に問題がなかったのであれば、せめて、もう1イニングは投げさせて欲しかった。
藤井は今後の軸になる存在だ。この先を考えれば、7回、8回、さらに完投ができる投手になって欲しい。長いイニングを投げられるようになるには、当たり前だが、長いイニングを投げる経験をしないといけない。実際に投げることで得られるものがあるし、それは実際に投げないと絶対に得られないものだからだ。
何も、藤井が降板した直後の7回に追い付かれたから言っているのではない。継投は結果論の面もあるし、この日は結果的に勝ったからいいじゃないか、という意見もあるだろう。私が言いたいのはそういうことではなく、藤井がこの先、完投能力を手にできるかどうかが、チーム成績に大きく影響するということだ。
最後に、藤平について。ちょうど1週間前の巨人戦で1回4失点と打ち込まれた。その際、「投げっぷり」が悪くなっていると指摘させてもらった。この日は3番手で8回に上がり、阪神のクリーンアップを3者凡退に抑えた。最後の大山への1球は逆球だったが、詰まらせて遊ゴロ。非常に投げっぷりが良かった。本来の特長が戻っている。(日刊スポーツ評論家)




