セ・リーグがついに27年シーズンから指名打者(DH)制度を導入する。日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏(54)が、背景や影響について持論を展開した。
なぜ来年の導入ではなく再来年なのか? まだ不満に思う点はあるものの、ずっと前からセ・リーグでもDH制を採用した方がいいと提言していただけに良かったと思っている。
このままではセ・リーグだけが時代の流れに取り残されてしまうという危機感から、やっと解放されたような気持ちになった。
まず初めに話しておきたいのだが、DH制の有無によってもたらされる「野球の面白さ」を議論する場合ではなくなっていた。
メジャーでは、コロナ期間をきっかけに、両リーグともDH制を採用するようになっている。アマチュア球界を見ても東京6大学をはじめ、高校野球も来春からDH制を採用する。単純に考えても、打席に立っていない投手が、セ・リーグでプレーするときだけバッターボックスに入ることになる。そんな環境の中ではケガのリスクも高まるし、打席でお客さんにお金を取って見てもらうようなプレーはできっこない。
DH制の導入は、さまざまなメリットがある。
まず、守備が下手でレギュラーになれなかった選手にもチャンスが出てくる。年齢的に守備につけなくなったベテランにとってもありがたい。なによりも足が遅かったり、守備が下手で野球をやめてしまっていた子どもたちも野球を続ける可能性が広がる。「打つだけでもレギュラーになれる」となれば、とてつもない打者が出てくる可能性だって高まるだろう。
単純にレギュラー枠がひとつ増えるのだから、選手起用のバリエーションも広がる。経験を積ませたい若手の育成もしやすくなり、選手の疲労を考慮してDHに活用できれば、プレーの質も上がるし、ケガのリスクも軽減できる。
メジャーでDHに反対していた監督が、実際にやってみて賛成派に変わったと聞いているが、チーム強化と選手保護の観点からDH制を採用した方がいいと感じたからだろう。チームから選手を預かっている監督という立場なら、DH制の導入に反対するのはナンセンスだと思う。
レギュラーの枠が増えたり、ベテランの選手寿命が延びれば、年俸が上がって球団経営が厳しくなるといった声を聞くが、実際にはどうなるか分からない。
若手が育つ機会が増えれば、それだけベテランの引退は早まる。むしろ年俸の高騰はメジャー選手との年俸の格差からきている部分もあるし、実際に、金銭獲得を目的にポスティング移籍を認める面も否定できない。年俸が上がったとしても、それを補うポスティング制度もあるのだから、選手の育成に重点を置くべきだと思っている。
一番に考えなくてはいけないのは、日本球界の魅力を上げ、発展させること。単純に野球ファンが増えれば、球団収入だって比例して上がってくるはず。ゲームの流れに左右されず、力と力の対決が増えれば、選手のレベルは間違いなく上がる。DH制の反対派は「采配の妙」が減るというが、野球本来の魅力は、力のある投手と力のある打者との勝負が根底になると思っている。(日刊スポーツ評論家)




