大谷はすごすぎる。もうこのひと言に尽きる。1点差の3回、大谷は相手が勝負にきたら本塁打を打ちにいくと思ったら、本当に打った。1死走者なし。ホームランを狙いにいける場面で、期待通りの同点弾を運んだ。

規格外というか、別次元の選手。誰もが同じ気持ちだろうが、大谷の素晴らしさは、打つだけではない。3点差を追う1回裏、鈴木の2ランで追い上げたのは大きかった。実はその本塁打を演出したのも大谷だったと思う。

先頭でファーストストライクを打ちにいかず、とにかく出塁し、走者をためようとする意識が出ていた打席だった。四球を選んで一塁へ歩く際、ベンチへ「さあ、行くぞ!」といわんばかりの鼓舞するポーズを見せたのは、その表れだったと思う。3点先制された嫌な流れを変えるには、まず自ら塁に出ることが重要だとわかっていた。試合状況や展開で、チームプレーに徹することができるのも大谷のすごさだ。

メジャー組の3番鈴木の2打席連発、吉田にもホームラン。この試合も打線は活発だったが、先を見据えると不安な点も露呈した。大谷の後を打つ2番近藤が心配だ。6日の台湾戦は5打数でノーヒット。この試合は1打席目に二ゴロ、2打席目には空振り三振。5回には大谷が中前打で出塁した後の1死一塁から、内角に詰まって二ゴロだった。7回には2死三塁から大谷が敬遠され、四球を選んでつないだが、本来の調子ではないように感じる。

打ち方が体であおっている状態で、バットのヘッドが出てこない。インパクトの瞬間、分かりやすく言えばバットが波うっているような形に見えるので、打球に力がなく上がらない。こんな近藤をあまり見たことがない。

大谷の後を打つ相当な重圧もある。長いシーズンを通してなら何の問題もないが、WBCは短期決戦。このまま復調を待つのか、オーダーを変更し、楽に打たせるのか。近藤レベルの選手だと、あと数試合で修正できるか、それとも少し時間を要するのか、本人が一番わかる。井端監督は近藤と相談し、打開策を模索するだろう。先発菊池が3失点など投手陣にも不安要素は出たが、近藤の状態は気がかりだ。(日刊スポーツ評論家)

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日本対韓国 8回裏表韓国2死満塁、金慧成を見逃し三振に打ち取った松本裕樹を迎える大谷。左は山本(撮影・たえ見朱実)
日本対韓国 8回裏表韓国2死満塁、金慧成を見逃し三振に打ち取った松本裕樹を迎える大谷。左は山本(撮影・たえ見朱実)