侍ジャパンのユニホームが板についてきた。広島から選ばれている菊池、田中、鈴木の3人ではなく、背番号108をつける山野恭介打撃投手(24)だ。連日、気持ちよく打たれている。勝ち進んでいった場合、米国ラウンドまで同行することも決まった。裏方最年少の表情は、日に日に明るくなってきた。

 「ほんとにやばかったです」と青白い顔だったのは初日。いきなり中田ら主力の組に投げることになった。WBC球に苦労し、初球から3球続けてボール。「頭が真っ白になりました」。しかしさすがの仕事人。1度感覚をつかむと、次から次へと打たれていった。飾らず素直でかわいがられる性格も重なり、チームにもとけ込んでいった。

 現役は育成選手での3年間。2年目に派遣された独立リーグでは最多勝でMVPに輝いたが、NPBでは1軍のマウンドに立つことはなかった。「夢みたいです。世界一へ、少しでも貢献出来ればいい」。キャンプ中から時間を見つけてはWBC球でキャッチボールを行っていた。ランニングやトレーニングも欠かさない。支える側もまた、世界一に本気なのだ。【広島担当 池本泰尚】