「1軍の戦力として、クライマックス・シリーズで投げたい。チームの勝ちに貢献する投球をして、その先に行きたい。今、目指すところはそれだけです」。西武のドラフト5位、平井克典投手(25)は入団1年目で臨む舞台をしっかりと見据えた。

 5月23日に1軍初昇格し、ここまで中継ぎとして40試合に登板。1度も2軍降格することなく、2勝0敗、防御率1・91をマークしている(9月27日時点)。当初は大量リードやビハインドでの起用が主だったが、大事なシーズン佳境に入り、競った場面での出番も多くなった。「最初の頃は『ストライクを投げないと』『打たれたくない』という気持ちが強かった。(2軍に)いつ落ちるかとか、落ちたくないとか考えてしまって…。自分と戦っている感じで、自分のことで精いっぱいだった」と明かす。それが今は「打者と、1対1で向き合って戦えるようになった」という。

 場数を踏んできた経験ももちろんあるだろうが、原因追及の積み重ねが心境の変化の土台になっている。登板翌日には、投手コーチと前日の投球内容について必ずミーティングを実施。相手打者、シチュエーションなど状況が毎回異なる中で、1球1球をどんな意図を持って投げたのかを振り返る。抑えても、打たれても、その原因を必ず明確化することが、自信と「いい意味での失敗もあった」と振り返られる、精神面での成長につながっている。

 スリークオーターからの切れ味鋭いスライダーが最大の持ち味。土肥投手コーチは「(スライダーと)対になるインサイドにしっかり投げられるようになってきたことが大きい」と評する。平井自身も武器に一定の手応えは感じているが「その前に投げる球、布石の球が投げられなければ、プロでは打たれてしまう。真っすぐはもちろん、スライダー以外ももっと磨かないといけない」と口元を引き締めた。

 「自分はまだまだ1軍が確約されている立場じゃない。任せて頂いた場面をしっかり抑えることで必死です」。西武のルーキーでは源田の活躍が目を引くが、もう1人の新人がリーグ戦最終盤のブルペンを支えている。【西武担当=佐竹実】