1度脱ぐことが決まった縦縞のユニホームに、立場を変え再び袖を通すことになった。今季阪神から戦力外通告を受け、現役を引退する小豆畑真也捕手(30)だ。しかし来季は阪神のファームのブルペン捕手として、チームを支えていくことが決定している。

「一言ではなかなか言い表せないですけど、個人的にはすごく満足な野球人生だったと思います」

小豆畑は藤浪、北條らと同期で12年ドラフト4位で西濃運輸から入団。強肩捕手と期待されながらも、プロ6年間で1軍の試合出場は1度もなかった。「いろんな人に出会えましたし、いろんな人に応援してもらいました。最後までプロとして結果が全然出なかったので、そこは悔しいところではありますけど、それも含めていい野球人生でした」と選手生活を振り返った。

球団から来季契約を結ばないことを発表されたのは10月30日。当初、今後については未定としていたが、家族らとの相談を重ね、10日から再びキャッチャーミットを持って、鳴尾浜のグラウンドに戻った。

「もともとボールを受けるのは好きだったので、それが仕事になったっていうのはうれしいです。野球にまた携われたら幸せかなって思っていたので」

サラリーマンとして第2の人生を歩む覚悟もあった。「そんなに甘い世の中ではないので。このままタイガースを離れて、一から履歴書書いて、就職活動してっていうのは想定はしていた。選手として全く役に立たなかったので、そんな選手の面倒をまだ見て一緒にやってくれるっていうところは、1人の人間としてすごくうれしさは感じますね」と球団への感謝を口にした。

「僕ができるのは気持ちよく投げてもうこと。そしてここで野球をやるんじゃないぞということを伝えていきたい。今は目の前でボールを受ける1人1人の投手みんなにいい思いをしてほしいなと思います」。黒子に徹し、鳴尾浜のブルペンで選手の活躍を心から願っている。【阪神担当 古財稜明】