プロ18年目の楽天久保裕也投手(39)が、新型コロナウイルスに揺れる現状への思いを口にした。「僕も長いことやってきましたけど、ここまで開幕の見通しが立たないのは初めて。ただ、オリンピックが中止になったり、僕らが感じているよりも緊急事態なんだと思う。我慢して、できることをやっていくしかないですね」と淡々と語った。

写真撮影を求められると「えーっ、撮るんですか? ボサボサなんですよ」と苦笑い。聞けばキャンプ直前の1月末を最後に、美容院に行っていないという。「今は密閉空間を極力避けた方がいいかなと」。1カ月に1回のペースで通っていたが、外見よりもプロ野球選手としての自覚が勝った。「奥さんも神経を使ってくれていて、外で買ってきたものを全て除菌シートでふいてくれたり、徹底してくれている」と家族の協力に感謝する。

久米島2軍キャンプでは初日から毎日ブルペンに入り続けた。この日もブルペンで57球を投じるなど、「強い球を投げられているし、順調ですね」と体調に不安はない。2月21日の日本新薬戦(日向)以来、あえて実戦ではなく、マイペース調整を続ける。「今は自分の投球スタイルをしっかり作っていくことが大事。今年の場合は、納得いく調整をしてから実戦に入っても遅くはないかなと。ミニキャンプ的な感覚で体力強化にもあてられるし、プラスに考えながらやっています。この時期をどう過ごすかは大事ですから」と、柔軟かつ自然体で構える。

02年ドラフトの自由枠で巨人に入団も、巨人、DeNAから戦力外通告を受け、17年に楽天にテスト入団した。右手の血行障がいで再び戦力外となるも、育成契約を経て再びはい上がってきた。酸いも甘いも味わってきた「松坂世代」の生き残りには、動じない強さがある。「プロとして、いつ開幕してもいいように準備していますよ」。最後にいつもの口調でサラリとつぶやいた。【野上伸悟】

フェンス沿いを走る楽天久保(撮影・野上伸悟)
フェンス沿いを走る楽天久保(撮影・野上伸悟)