16年から20年までリーグ2位、1位、2位、1位、2位。

阪神のある部門にまつわる成績の推移。熱心な虎党の方ならピンと来るかもしれない。ここ5年、常にセ界トップクラスの数字を誇る項目、それはチーム防御率だ。先発陣、救援陣ともに布陣は強力。これだけハイレベルな現実を考えれば、少し心配な新助っ人来日問題も前向きにとらえるべきなのかもしれない。

政府は現在、新型コロナウイルスの変異種が流行している状況を踏まえ、外国人の新規入国を一時停止している。虎で来日1年目を迎える2人、韓国リーグ昨季2冠王の主砲候補ロハス、同じく韓国リーグ昨季20勝右腕のアルカンタラもまだ来日のめどが立っていない。

現時点で、少なくともキャンプ中盤までは2人の不在期間が続く。ただ、これは若虎軍団、特に先発投手にとってはアピール機会の増加にもつながる。ハイレベルな開幕ローテ争いが予想される先発陣は、アルカンタラ不在期間中に激しいバトルを続けることになりそうだ。

年明け、青柳がオンライン取材で危機感を募らせていた。「まだ(ローテ入りを)確約されるポジションでもない。先発候補も多い。勝ち取っていくにはキャンプ序盤から投げていかないといけない」-。

青柳といえば、昨季まで2年連続で規定投球回クリア、防御率3点台前半を達成している先発2、3番手クラス。そんな投手でさえのんびりしていられない事実が、阪神開幕ローテ争いの厳しさを物語っている。

大黒柱の西勇、昨季11勝の秋山に青柳、そして高橋もコンディション不良があった左肩さえ万全であれば主戦級だ。確実に計算できる4人の他にも、昨季復調を印象づけた最速162キロの大器・藤浪がいる。ここに新戦力のアルカンタラ、メジャー59勝左腕チェン、さらには岩田稔や中田らベテランまで控えるのだから、確かに層が厚い。

昨季先発陣の中で今オフ退団した投手はガルシアぐらい。例年リーグ屈指の戦力をそろえる先発陣だが、今季はさらに上積みが目立つ。「結果を出さないとローテに入れない」。これは年明けに藤浪が語った言葉だ。キャンプ中の実戦で1イニングでも空きが出れば、若手投手がそれを生かさない手はない。

ドラフト2位左腕の伊藤将、高卒2年目の西純らにとっては、またとないアピール期間となるキャンプ序盤。アルカンタラ不在の不安をかき消してくれるぐらいの白熱バトルを、楽しみにしている。【遊軍=佐井陽介】

阪神青柳晃洋(2020年10月27日撮影)
阪神青柳晃洋(2020年10月27日撮影)
藤浪晋太郎(2020年8月21日撮影)
藤浪晋太郎(2020年8月21日撮影)