アメフトの日本選手権、ライスボウルが今月3日に東京ドームで行われ、富士通がパナソニックを24-18で下し、2年ぶり6度目の日本一に輝いた。昨年までは社会人王者と学生王者の対戦だったが、実力差が開いた影響で今年から社会人Xリーグの決勝戦となった。大学、社会人とアメフト選手だった私自身も毎年楽しみにしている一戦に、阪神佐藤輝明内野手(22)も熱視線を送っていた。

佐藤輝が試合中に自身のインスタグラムのストーリーを更新。ライスボウルのテレビ中継の写真に「LET,S GOOOOO!」と記し、エールを届けた選手がいた。パナソニックの背番号15、WR桑田理介選手だ。2人は仁川学院(兵庫)時代の野球部のチームメートで、桑田が投手、佐藤輝が捕手でバッテリーを組んでいた。桑田は関大へ進学し、アメフト部に入部。社会人となった昨年から、4度の日本一を誇る強豪チームに加入した。

桑田はルーキーながらチームの主力としてライスボウルでも存在感を発揮。持ち味のスピードを武器に、WRとして合計5キャッチ、62ヤードを獲得した。テレビで観戦していた佐藤輝は「大学から新たなスポーツを始めて、あそこまでやるのは本当にすごい。やっぱりもともと持っている運動神経が本当にすごいんだと思います」と感激していた。

佐藤輝は桑田がみせたビッグプレーに大興奮だった。第2Qで、5ヤードのショートパスをキャッチした桑田は、マークされていたタックラー1人をスピードで置き去りにし、前進した先に待ち受けていた2人に対しては体を時計回りにくるりと回転させる「スピンムーブ」で一気にかわし、15ヤード以上のゲインをもぎ取った。佐藤輝も見よう見まねで動きをみせ、「僕もWRでスピンしてみたいです」と目をギラつかせた。

仁川学院にもアメフト部があっただけに「すごく楽しそうだなと思って見ていました」と、佐藤輝自身もアメフトに興味を持っていた。「テレビでやっていたNFLをたまに見ていたので、ルールは大体わかります」とニヤリ。「いろんなポジションがあるので、それぞれ楽しいところ、難しいところがあると思う」。仮にアメフト選手になっていたらどんな選手になっていたのか、想像するだけでワクワクする。

日本のアメフトの頂上決戦で活躍したかつての戦友の姿に、佐藤輝は感化された。「スポーツは違いますけど、第一線でプレーしている仲間としてすごく刺激になりましたね」。それぞれのチームで主力として日本一を達成した暁にあげる祝杯は、格別な味に違いない。【阪神担当=古財稜明】

パナソニック対富士通 パナソニックWR桑田(右)(2022年1月3日撮影)
パナソニック対富士通 パナソニックWR桑田(右)(2022年1月3日撮影)