「野球の町」の復活を願って-。高知県土佐市は21日、競技スポーツの振興に顕著な功績のあった個人、団体を表彰する「土佐市スポーツ賞」を発表し、特別賞に市出身の阪神ドラフト1位森木大智投手(18=高知)を選んだ。表彰は94年から始まり、28回目で特別賞は初めてのことだ。

森木が手にした表彰状の写真には、板原啓文市長(66)の名前があった。それを見て、ふと思い出した言葉がある。

「土佐は、かつては野球の町だったんです」

昨年のドラフト直後、突撃取材にもかかわらず応じてくれた市長は、少し寂しそうにそうつぶやいた。50、60年代、市内の西側、海に面する宇佐町には「一時代築いた人たちが集まっていた」という。68年に東京オリオンズからドラフト1位指名された有藤通世氏(75)もその1人。森木と同じ高知高で63、64年と2年連続で夏の甲子園に出場。プロでは通算2057安打を放った。そんな「ミスター・ロッテ」をはじめ、市出身のプロ野球選手は11人にのぼる。

ただ近年は、野球人口が減少傾向にある。少年野球チームも減り、中学も連合チームを組まないと大会に出られないほど。「子ども自体も減っているんですけれど、サッカーはやっぱり人気。でもやっぱり、おじいの年代にとっては、この地域は野球なんです」。

そんな背景もあって、初めての「特別賞」を森木に贈ったのは、「プロで活躍して、土佐の子どもたちに野球の魅力を存分に伝えてほしい」との思いも込められていると思う。板原市長は、森木のドラフト1位指名を「土佐市の、高知県の、日本の宝」と喜んでいた。「着実に1段1段のぼっていってほしい。家族みたいなもんです。あたたかい思いで見守りたい」とも言っていた。同市の蓮池小でソフトボールを始め、高岡第二イーグルスで野球に出会った森木に、また1つ戦う理由が増えた。【阪神担当=中野椋】

森木大智(2021年3月17日撮影)
森木大智(2021年3月17日撮影)