「令和の怪物」と称されるロッテ佐々木朗希投手(21)が、ついに侍デビューした。

初めて命名されたのは、まだ「平成」だった。日刊スポーツの2019年4月7日付紙面。「国際大会対応研修合宿」と銘打ったU18日本代表1次合宿の紅白戦で163キロをマークした衝撃を報じた日だ。同5月1日に令和へと変わる約1カ月前、次代への期待が込められた。オーストラリア戦も、まさにワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への“対応研修”。どこまで驚かせてくれるのか-とワクワクした高校時代の怪物ぶりを思い起こさせてくれた。

東北6県担当時代、岩手・大船渡高時代の佐々木朗の試合ではネット裏などで写真撮影しながら、スピードガン表示を全球メモすることが日課だった。1年夏に147キロデビューし、「岩手の大器」からスタート。冬を越えて153キロを計測した2年春には「岩手の新怪物」、157キロの同秋には「みちのくの新怪物」に。花巻東高から育った大谷翔平(現エンゼルス)に続く希望あふれる称号は進化していった。

私は1学年上の秋田・金足農の吉田輝星投手(21=現日本ハム)も担当させていただいたため、佐々木朗を「吉田が荒々しいワシなら、朗希は優雅なツルのよう」と表現したことがある。その直後に「163キロ」で舞い、「令和の怪物」となった。

社会面担当を経て、11月から野球担当となった。初日の今月1日、ロッテ秋季練習に配置され、ZOZOマリンへ。偶然にも佐々木朗が打撃投手を務めて再会した。力みを感じさせない長い手足から繰り出す優雅な全33球は、数年前と比べて大人びていた。

「令和の怪物」は「ユーキャン新語・流行語大賞2022」にノミネートされるほど、国内での認知度は確固たるものに。WBCで「世界の怪物」となるべく、しなやかな翼を優雅に大きく広げた。【遊軍 鎌田直秀】