8日の西武戦でうれしいプロ初勝利を挙げたオリックスのドラフト5位ルーキー高島泰都投手(24)は、高校時代に大きな“岐路”を迎えていた。

それは滝川西(北海道)1年秋の出来事だった。右肘に痛みが走り、札幌の病院でMRI検査。そして、告げられた。

「これ、手術しかないね」

トミー・ジョン手術を医師に勧められ、高島も「分からないので。お願いします」と承諾した。その次の来院で、手術の日取りを決める流れになった。医師からは「靱帯(じんたい)だから、投げてていいよ。ノースローにはしないから」と伝えられ、そんなものなのかなと思ったそうだ。

「どうせ手術するから」と、練習で打撃投手などを行っていた。すると不思議な出来事が発生。「投げてても、そんなに痛くなくなったんです」。少しずつ和らぎ、やがて、消えた。

病院に向かい、医師に痛みがなくなったことを訴えると、話し合いの結果、手術の回避が決まった。

その時、もし肘にメスを入れていたら、最低でも1年間を棒に振ることになっていた。3年生くらいまで投げられなかった。

「しかも手術歴って、結構プロ入るときに響いたりするんで。手術しなくて良かった」と高島は振り返る。そうなれば、プロに入った今とは違う道だったかもしれない。その後、明大の準硬式野球部から社会人の王子に進み、昨年のドラフトでオリックス入りした。

ちなみに、痛くなった肘でなぜ投げられたのか、そして痛みがなくなったのか、今でも「まったく分からない」と笑う。

「荒療治みたいに、投げて治す、みたいな感じじゃないですかね」

結果的に、投げるのがいいクスリになった。今でも「ちょっと張りがあった方がいい感じに投げられる」とのこと。試合前の治療は、あまりやり過ぎないようにしているそうだ。そんな高校時代の一件以降、体のメンテナンスにはより気を配るようになった。

プロ初勝利を挙げた京セラドーム大阪のお立ち台で、社会人時代に知り合った一般女性との結婚をサプライズ発表。記念のウイニングボールにはマジックで日付のほか「西武戦」と記したが、「武」の字を書き間違えた。「勢いでこれ(一画多く)やってしまって。(奥さんに)それを言われました」と照れた。

手術を回避したことも、プロに入って結婚したこともまた運命。「息の長い選手になりたい」と掲げた目標に向け、まずは白星で大きな1歩を踏み出した。【オリックス担当=大池和幸】

オリックス対西武 先発するオリックス高島(2024年8月8日撮影)
オリックス対西武 先発するオリックス高島(2024年8月8日撮影)