新天地・広島で迎える春季キャンプの直前、山足家は新しい家族を授かった。宮崎・日南キャンプが始まる直前の1月30日に、男の子が誕生。「少しだけ会うことができました」とお父さんは目尻を下げた。うれしいスタートになった。
昨秋の現役ドラフトで、山足はオリックスから広島に移籍。32歳になるプロ8年目で、また自分の立ち位置をつかむ挑戦が始まる。1軍がキャンプを張った日南市の天福球場で、若手とともにロングティー、連続ティーなどで連日バットを振り込んだ。11日の日南キャンプ打ち上げ後の「疲れました…」の声に実感がこもる。それでも「もう1回、自分をアピールしていく気持ちは、新鮮だなと思います」と前を向く。
「挑戦」を「新鮮」ととらえる。「最初のときってやっぱり、緊張感がある中でやるじゃないですか。30歳を越えて、なかなか味わえないことだと思うので」と、ポジティブに気持ちを奮い立たせる。
オリックスでは「時代は山足」のフレーズで親しまれた優勝メンバー。山足が活躍すると「時代は山足」の文字がSNS上で躍った。20年の63試合、21年の2割7分3厘、19年の8打点が年間の最高成績で、通算本塁打は4本。山足の貢献度を数字で表すことは難しいが、オリックスのリーグ3連覇を支えた戦力だった。本職は二遊間だが「内野ならどこでも守ってくれるし、打撃も驚くような長打力があるわけではないけれど、ここ一番で決めてほしいバントなどをきちんと決めてくれる」という理由で、オリックスの1軍首脳陣に重宝がられた。
いい意味での、使い勝手のよさ。その特性で、新天地・広島でも勝負する。「これまでいろんな経験をさせてもらってきたので」と多くの引き出しを持ち、それを力にする貪欲さがある。アマ時代の山足をよく知る関係者が、プロ入り後のがむしゃらにひたむきに自分の立ち位置を保ち続ける姿に目を丸くしたという。
オリックスでは吉田正尚(レッドソックス)が叫んだように、カープでも誰かが「みなさん、時代は山足です」とスタンドのファンに呼びかける日がやってくる。【堀まどか】




