夏真っ盛りの11日の甲子園のグラウンド。控えめな笑顔の29歳が、タテジマの首脳陣、チームメートに歓迎されていた。「久しぶり」。
そう声をかけた阪神野村克則バッテリーコーチ(51)の右手を、両手で握ったのは高橋遥人投手。「会えて良かったです」。少し恥ずかしそうに笑って返した。
昨年11月に「左尺骨短縮術後に対する骨内異物(プレート)除去術」を受け、リハビリを経て同日に1軍合流した。これまでも肩や肘など、度重なる手術を乗り越えてきた左腕。22年から昨年まで2軍で見守り、リハビリに励む姿も間近で見てきた野村コーチは「明るくやっていましたよ」と振り返る。何度も劇的な復活を遂げてきた左腕を、誰もが待っていた。
日刊スポーツの阪神担当X(旧ツイッター)アカウント「極トラ・プレミアム」では、カメラマンが日々の練習風景を切り取った写真を投稿している。11日に投稿した高橋が才木浩人投手(26)を目がけて、キャッチボールする写真には、何回表示されたかを表すインプレッションが約23万に到達(13日時点)。数字にたくさんのファンからの期待も表れている。
待望の復活は、他チームからすれば脅威だ。「阪神本当に強いよね。まだここに、高橋も2軍にいるんでしょ…」。他球団の関係者との雑談で、何度も「高橋」の名前を耳にした。
プロ8年目で18勝19敗。この数字だけでは分からないすごみがある。20年は左肩の不調で開幕から出遅れるも、8月上旬に1軍復帰すると、10月5日巨人戦(甲子園)で14奪三振の快投でプロ初完投勝利。21年は上肢のコンディション不良で出遅れるも、9月上旬に1軍初登板し、復帰3戦目の9月25日巨人戦(東京ドーム)、翌週の10月2日中日戦(甲子園)で2戦連続完封を成し遂げた。圧倒的な復活劇が、多くの人の目に焼き付いている。
現在チームは2位に9・5ゲーム差の首位と独走中。リーグ優勝へ追い風となる、強力なピースが加わる。【阪神担当 磯綾乃】




