中日から戦力外通告を受けた井領雅貴外野手(32)は野球と決別する。コンクリート圧送業会社に入社し、土木現場へ通う日々を送ることを決めた。

6月、打球を見つめる中日井領
6月、打球を見つめる中日井領

「めっちゃ、きつかったです」。すでに現場作業を体験した。コンクリートポンプ車で現場に向かい、生コン車が運んできた生コンクリートをポンプを通して枠に流し込む。来年1月からは過酷な肉体労働で修業の日々を送る。

今季は開幕1軍で7年目のスタートを切った。18年は1軍出場なしで終えたが、19、20年は左の代打として存在感を発揮。今季も右翼のスタメンや代打で滑り出した。7月11日DeNA戦で送球が首に当たるアクシデントに見舞われ、2試合出場後の同15日にファーム落ち。8月から実戦復帰したが、1軍復帰することなく10月7日に戦力外通告を受けた。

中日井領の年度別成績
中日井領の年度別成績

「中日に拾ってもらった感覚があり、他球団にいくイメージはなかった」。桐蔭学園高からJX-ENEOSに進み、7年間の社会人野球を経て、14年ドラフト6位で青いユニホームに袖を通した。戦力外から社会人野球復帰も模索。実らなかったが、縁が扉を開けた。家族付き合いのある妻の知人が同業者で仕事内容も聞き及んでいた。同学年のチームメート田島の紹介もあり、名古屋市内のコンクリート圧送業会社への入社を決め、7日に自身のSNSで現役引退を表明した。

21年中日退団選手
21年中日退団選手

社会人野球、プロ野球を経て、第3の人生の扉を開ける。「勝算が見えたら独立したい。僕は野球が好きだったけど、離れなければならなくなった。そういう困っている人を助けるのが夢です」。野球を離れる若者の受け皿になるため、来年からは建物などの土台作りで汗を流す。【伊東大介】