交流戦に入っても「三振しない男」は健在だ。パ・リーグ首位打者のオリックス吉田正尚外野手(27)は、ここまでわずか8三振。4月20日西武戦から5月18日ロッテ戦まで94打席三振なしを続けると、交流戦に入っても6試合で1三振と圧倒的だ。

1三振に要した打席が多い選手
1三振に要した打席が多い選手

どれだけ三振しないか、1三振を要した打席数を計算すると、28・4打席に1回となる。6~7試合でようやく1三振という計算で、2位の鈴木大(楽天)の倍以上の数字だ。過去のシーズンで三振ペースが28打席以上だったのは、83年の新井(南海=35・9打席)と片平(西武=32・0打席)が最後。97年に216打席連続三振なしの記録をつくったイチローも、同年は16・9打席に1度のペース(607打席、36三振)だった。この30年で、吉田正が最も三振しない選手になっていた。

本塁打数が三振よりも多かった選手
本塁打数が三振よりも多かった選手

圧倒的な三振の少なさから珍しい現象も生まれている。吉田正はここまで12本塁打を打っており、三振数より本塁打数の方が多くなっている。過去のシーズンで「本塁打数>三振数」だった選手を調べてみると、18人(28度)が記録。こちらも30年以上達成者はおらず、89年のブーマー(オリックス)が最後。日本人では3冠王を獲得した85年落合(ロッテ)以来出ていない。過去の顔ぶれを見ると、そうそうたるメンバーが並ぶが、吉田正もこの中に名を連ねることになりそうだ。

吉田正が今のペースのまま出場を続けると、最終的に本塁打は32本、三振は21個になる。過去に「打率3割、30本塁打、30三振以下」だった選手は、63年に打率3割4分1厘、37本塁打、30三振を記録した長嶋(巨人)だけ。吉田正が史上2人目の珍しい“トリプルスリー”を達成するかもしれない。【多田周平】