パ・リーグの優勝争いを繰り広げるロッテで、ベテランの荻野貴司外野手(35)が躍動している。打率3割3厘、17盗塁の活躍で、リードオフマンとして不可欠な存在に。しかも、ここまで1番として全試合に出場。ルーキーイヤーからケガに悩まされ、10年目の19年にようやく規定打席をクリアと苦しんできただけに、36歳を迎えるこの年で全試合出場は驚きだ。

初の全試合出場が36歳以降の選手とチーム全試合先発1番の年長記録上位
初の全試合出場が36歳以降の選手とチーム全試合先発1番の年長記録上位

36歳以上のシーズンに全試合出場したのは過去29人(50度)いるが、初めての全試合出場が36歳以降だったのは、09年和田(中日)まで6人しかいない。パ・リーグでは過去3人いるが、73年ビュフォード(太平洋)は来日1年目の選手(しかもMLBで66年に全試合出場している)で、83年水谷(阪急)と88年門田(南海)はDHがメインの選手。外野で出場を続ける荻野が達成すれば、パ・リーグでは非常に珍しいケースといえるだろう。また、36歳シーズンに全試合1番を務めたのは83年福本(阪急)だけで、「全試合1番」の最年長記録に並ぶ。

シーズン最多安打の年長記録上位(35歳以上)
シーズン最多安打の年長記録上位(35歳以上)

1番で出続けているだけに、今季は初タイトルも狙える。現在134安打でリーグトップを走る最多安打だ。リーグ最多安打の選手の年齢を調べると、84年谷沢(中日)の37歳が最年長で、36歳以上は谷沢も含めて4人しかいない。今年はセ・リーグで同じ85年生まれの大島(中日)もタイトルの可能性があるが、荻野が取るとパ・リーグでは07年稲葉(日本ハム)ら5人、右打者としては71年長嶋(巨人)ら4人がマークした35歳を上回る年長記録でのタイトル獲得になる。

ロッテ荻野貴司(2021年9月9日撮影)
ロッテ荻野貴司(2021年9月9日撮影)

現在安打数2位の吉田正(オリックス)は登録抹消中。「1番・荻野」がシーズン最後まで走りきれるか、残りの35試合も注目していきたい。【多田周平】