セーフティーバントを仕掛ける阪神近本(2019年3月24日)
セーフティーバントを仕掛ける阪神近本(2019年3月24日)

オープン戦が終わった。阪神は辛くも2年連続最下位を脱出し、11位でフィニッシュ。だから、どうしたと言うこともないが、いよいよ29日には新指揮官・矢野燿大1年目のシーズンが始まる。

課題の得点力は? 守備は? 期待通りにいかなかった投手陣は? 正直、不安は多い。それでも希望もある。虎党なら、もう、分かるだろう。近本光司、木浪聖也の新人2人による1、2番コンビだ。これが機能すれば昨季とは違う状況が生まれるかもしれない。

そんな近本について聞きたい男がいた。田口壮。この日の対戦相手オリックスの野手総合兼打撃コーチだ。先日、衝撃の引退を明かしたイチローとともに90年代オリックス黄金時代を支えた名外野手。同じく大リーグでも活躍し、イチローも手にできなかったワールド・シリーズのチャンピオンリングを2個も持つ。

選手として誰にも負けない自負を持つイチローだったがオリックス時代、田口には頭が妙に上がらなかった印象だった。イチローが91年のドラフト4位なのは有名だがその年の1位が田口だ。「1位で選ばれる。それだけの選手ということでしょう」。田口についてそんな話をしたこともある。

人気があった理由の1つが地元・関学大出身という点だ。いわゆる「関関同立」の中でも関学出身の野球選手は多くない。そんな中で堂々の1位入団だったから、さらに注目された。

そして近本だ。社会人の大阪ガスを経由しているが関学大出身。田口をしのぐ選手になってほしいというのは阪神関係者の願いでもある。その田口はどう見ているのか。

田口 野球センスがいいよね。22日の1戦目(西浦の飛球)やね。落下点まで一直線に行っているでしょ。今回はドームだったけど甲子園でも風を計算してちゃんとやれると思います。打撃ではファウルを打てるのがいいよね。ちゃんと粘れる。これは大きい。

同時に田口はこんな話もした。「でも関学を出て、一番頑張ってるのはボクじゃなくて宮西(尚生=日本ハム)ちゃうんですか? そこも超えていくんじゃないかな」。虎党にはうれしい見立てだ。

「配球とか考えすぎていたけど大丈夫だと思います。十分、プロでやれますよ」。オープン戦を終え、打撃コーチの浜中治も太鼓判を押した。

「関学出で1番? ええ。まあ。頑張ります」。近本自身はボソボソ話したがこの時点で大きなことを言えないのは当たり前。近本の頑張りが虎党、チーム、そして関西を救うことになる。(敬称略)

大山(左)を笑顔で出迎える木浪(中央)と近本(2019年3月20日)
大山(左)を笑顔で出迎える木浪(中央)と近本(2019年3月20日)