今季、阪神はデーゲームに記録的な強さを発揮している。ここまで1分けを挟んで16連勝。そして日曜日に限れば9試合全勝なのは虎党も知るところだ。その結果が快進撃につながっているのだが、その裏で少し不思議な現象も起こっている。火曜日に勝てないのだ。「火曜の謎」である。

オリックスとの1回戦。古巣に対して西勇輝が先発したが7回2失点で降板。勝利投手になれなかった。同点の8回に2番手で勝ちパターンの岩崎優が出たが守備のミスもあり、3失点。西勇が今季最後に勝ったのは4月20日巨人戦(東京ドーム)なので5月は丸々勝てていない。6月も幸先よく白星…とはいかなかった。

これで火曜は3勝5敗1分けとなった。今季ここまで阪神は日曜を筆頭にすべての曜日で貯金をつくっている。そんな中で唯一の借金だ。その火曜すべてで先発しているのが西勇なのだが本人の防御率自体は「3・18」と悪くない。

では打線が火曜に打てていないのか? と言えば特にそういう訳でもなさそうだ。今季ここまで阪神が2桁得点したのは5試合。そのうち2試合が火曜だ。4月20日・巨人戦(10得点)5月4日・ヤクルト戦(神宮=11得点)。これは全曜日で最多になっている。

さらに不思議に感じるのは西勇の今季“ベストピッチ”が4月14日広島戦(甲子園)だったことだ。広島の誇る森下暢仁と投げ合い、8回無失点で2勝目をマークしたこの試合。同13日(火曜)が雨で流れ、スライド登板した“水曜の試合”だった。

そんな日程をチェックしている間にある言葉を思い出した。広島から大リーグに渡り、また広島に戻ったレジェンド投手・黒田博樹に聞いた話だ。

「火曜に投げる投手はチームの1週間を背負っているんです。その日だけではない。まず、そこでいい投球をしてその3連戦の流れを呼ぶ。そしてチーム全体に勢いをつけていくものなんです」

だからこそエースを立てる。今季は開幕投手こそ藤浪晋太郎だったが指揮官・矢野燿大も「エースは西勇輝」と話している。火曜が重要なことに変わりはない。そこで、この戦績。それでもチームは首位を走っているのだから“謎”だ。もちろん、いつも勝つことはできないのだけれど、やっぱりエースに白星がほしいと感じてしまう。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)