得意の横浜スタジアムで打線がようやく爆発して9得点。投げては青柳晃洋がエースらしい粘りの投球を見せ、湯浅京己、岩崎優抜きの救援陣も落ち着いた内容で連敗脱出となった。雨天中止が2試合続き「何かきっかけがほしい」と話していた指揮官・矢野燿大にとってもまずはひと息というところだろう。

そこで気になるのが大山悠輔である。この日は3試合続けて「5番左翼」でスタメン出場した。前カードの広島戦(甲子園)からマルテが復帰。マルテ不在の間は一塁を守っていた大山はそこから左翼での試合出場となった。

このコラムで「なぜ左翼での出場なのか」と書いた後、13日の練習時にヘッドコーチの井上一樹が「内野ではちょっと負担がかかってしまうんじゃないか」と明かしていたよう。大山は4月24日ヤクルト戦(神宮)で左脚を痛めており、そこへの配慮という形だ。

5月は8日の中日戦(バンテリンドーム)で同点5号2ランを放つ場面もあった大山だが、やはり、不調としか言えない状況。これで5月は10試合で36打数3安打の打率8分3厘で4打点、本塁打はその8日の1本だけ。成績だけ見ればやはり「5番」とは言いがたいし、ベンチにいても不思議ではないものだ。

「5番左翼」でスタメンだったこの日は5回に犠飛を放ち、勝利に貢献した。仕事はしたのだが“周囲の心配を吹き飛ばすような活躍”とまではいかない。左脚を気にしているのなら犠飛の後で交代させればいいのでは…とも思ったが7回の第4打席も出た。

「やっぱり働いてもらわないといけない。スタメンはまだ続ける」。これも13日に井上が虎番記者たちに話していたことだが、その“我慢”がどう出るか。もちろん現在の打線で大山を欠けば迫力不足にはなるのは理解できるのだが、まだ100試合以上、ある。

万全でないなら大山に無理をさせず、例えば陽川尚将の左翼スタメンでもおかしくはない。ロハスと入れ替えで板山祐太郎も上げたことだし。何より「調子のいい選手から使う」のは就任以来、矢野の一貫した考えだったはずだ。

開幕9連敗から始まり、この日で40試合を終えたが、まだ投打のバランスが取れず、落ち着かない状況なのは事実。打順を変えるのも手かもしれないが、さらに柔軟な選手起用も必要ではないか。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)