いやいや。これは。きついぞ。厳しい逆転負けだ。久しぶりに勝利の味、いや今年の交流戦では初めてとなる「六甲おろし」が甲子園に流れるかと思われた9回表2死。虎党にとって小郷裕哉の“無情弾”が右翼席へ飛び込んだ。

岩崎優、痛恨の被弾だが、やはり問題はそこまでのプロセスだろう。当然ながら、そこは指揮官・岡田彰布がきっちりと指摘した。「2点じゃ、あかんて」。実際、その通りだ。なんとか、もう1点…。それが取れなかったのが響いた。

以前も書いたが開幕から勝つには勝ってきた阪神だが、打線がしっかり得点できないと投手陣、特にブルペンにしわ寄せがくる。この日はその影響がハッキリ出た。先発・大竹耕太郎は7回途中まで無失点でこらえたが石井大智、島本浩也が1死も取れず、頼みの桐敷拓馬が1失点、そして最後の岩崎である。

振り返れば「あと1本」が出ない展開だった。気になったのが、これが4試合目の「4番打者」だった近本光司である。1回の2死三塁から始まり、1点を先制した3回の2死一、三塁、さらに2点目をあげた5回の2死満塁と3度の得点機で一打が出なかった。

これで4番での成績は4試合で15打数3安打の打率2割。それもそうだが、得点圏打率でリーグ上位につける近本の勝負強さが発揮できていない。少し前にも触れたが近本自身は現状、1番を好んでいる。プロである以上、常に自分の好きなところで打てるわけではないが、それにしても3番、そして4番で打棒が湿ってしまうのは無念だ。

なにしろ佐藤輝明、大山悠輔、そしてノイジーと日本一に輝いた昨季の主軸打者が全員ファームにいる異常事態。「4番近本」は、それを受けての苦肉の策なのだが、それで近本までも調子を落としてしまうなら、これは本当にまずいと感じてしまう。

「打順、何番に入れるとか、そんなん、メンバー、今おれへんねんから、なんとか点取るために、こっちはやってるだけであって、おまえ」。岡田も苦しいチーム事情を話す。

これで交流戦は1勝6敗の借金5。リーグ戦で重ねてきた貯金は「1」まで目減りした。岡田は「誰も、まだ貯金1ありますねえ言わんのう…」と虎番記者にボヤいたが、昨季から快進撃を続けてきたチームの苦境に、誰もが焦っているのは事実だ。(敬称略)

【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対楽天 9回裏阪神1死一、二塁、岡田監督は島田の一塁アウト判定にリクエストする(撮影・加藤哉)
阪神対楽天 9回裏阪神1死一、二塁、岡田監督は島田の一塁アウト判定にリクエストする(撮影・加藤哉)