ご承知の虎党も多いと思うが指揮官・岡田彰布はサヨナラ勝ちがあまり好きではない。投手を中心に守る野球が理想。先制し、それを守るオーソドックスな形が好きだ。だから甲子園で戦うときは「9回裏の攻撃はない方がエエよ、そら」という話になる。
その思いを強くしたのは、あの08年があるからかもしれない。巨人に大逆転を許し、監督の座を自ら辞したシーズン。阪神は9月にヤクルト相手に3試合連続のサヨナラ勝ちを記録している。当時、虎党、メディアは大騒ぎしたが岡田本人の思いは違っていた。
「これはあかん」と思っていたという。簡単に理由を言えば「必然性がない」というものだ。その3試合はサヨナラ弾、押し出し四球、押し出し四球という内容。それを偶然と言っていいのかどうかは分からないけれど岡田にすれば「必然性がない」と映ったのだ。
投手がしっかり抑え、攻撃で着実に得点して、勝つことが理想な指揮官からすれば偶然、勝っただけでそれはチームの力ではないということだろう。だからこそ岡田は「強いチームの野球は面白くなくなる」と言うのかもしれない。
その視点でいけば、2試合連続サヨナラ勝利で迎えたこの日はどうだったか。1回に先制こそされたが大竹耕太郎が好投し、先発投手に白星もついた。初スタメンの野口恭佑も活躍。今季負けている奥川恭伸も攻略できた。
それでも偶然性は多かったのである。同点にした4回、1死一塁で佐藤輝明の二ゴロを北村拓己がお手玉。併殺を取れず、走者を二塁に残した。野口の同点適時打はその2死二塁から出たものだ。
勝ち越した5回も小幡竜平の二塁打は中堅の増田珠が打球をそらしていた。記録員の判断で二塁打にはなったが、増田がきっちり処理していれば小幡が二塁へ行けたかどうかは微妙だったかもしれない。そこからできたチャンスで奥川の暴投により、勝ち越し点をもらう形になった。
岡田もそれは分かっている。相手のミスに助けられたことを認めつつ「まあ、それも野球やで。こっちもミスして点取られるんやからな」と話した。必然性を求めながらも偶然性から逃れられない。それが野球だし、せんえつながら言わせてもらえば世の中なのかもしれない。いずれにしても阪神は今季2度目の4連勝で2位に浮上である。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




