MLBジャパンが主催する「MLB CUP 2022 リトルリーグ野球小学5・4年生全国大会in石巻」の決勝戦と野球教室が7月31日、宮城・セイホクパーク石巻で行われ、元メジャーリーガーのマック鈴木さん、松坂大輔さんが小学生と触れ合った。この大会は日本リトルリーグ野球協会に所属する小学5年生、4年生の全国大会で、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方の復興支援の一環としてMLBが主催している。3年ぶりに開催された今回は5周年の記念大会となった。全国16チームが戦ったトーナメント戦の決勝は東京対決となり、東京中野リトルリーグが稲城リーグに9-3で勝ち、初優勝を果たした。

 自身もリトルリーグ・江戸川南リトルに所属していた松坂さんは、野球教室に参加した子どもたちとティーボール対決も楽しみ「負けて、失敗をして、反省をして、そこからたくさん練習をして、僕もうまくなっていきました。みんなはこれからも野球を好きでいてくださいね」とメッセージを送った。松坂さんは2011年の震災直後に当時所属していたレッドソックスを通じて日本赤十字社に100万ドルの寄付をしている。周辺に建ち並んでいた仮設住宅が解体され、「TOMODACHI イニシアチブ」の支援を受けて昨年リニューアルされた球場で、子どもたちと野球を楽しんだ。


■沿岸部を中心に野球人口は減少の一途


 こうした野球普及活動は全国で活発化されてきているが、被災地の野球人口減少は急速なスピードで進んでいるのが現状だ。震災から11年。野球どころではなかった年月が、子どもたちのスポーツ離れに直結しているという。大会運営に携わった宮城県リトルリーグ野球協会の我妻正敏会長は「宮城県では震災前に比べてチーム数が約3分1まで激減しています。もちろん、少子化や、他のスポーツを選ぶ子どもが増えていることは確かですが、一番はやはり震災の影響でしょう」と話す。阪神・馬場皐輔やロッテ・平沢大河を輩出した名門チームの塩釜ドラゴンズも部員不足でチームが消滅したと言う。

小学生の野球離れは、もちろんその上のカテゴリーである中学野球、高校野球にも影響を及ぼす。2021年の県中体連の野球(多賀城~石巻~気仙沼など)の3校が休部。石巻市内の高校のうち、部員が20人以上いるのは2012年にセンバツ出場した石巻工だけとなっている。県高野連・野球普及振興部の石巻工・利根川直弥監督は「深刻な状況ですが、数が増えればいいのかというところから見つめ直し、高校野球の意義を考えたい」と話し、これからの野球普及のやり方についても模索している。

決勝戦を観戦した松坂さんは「6年生でリトルの硬式野球を体験して芯を外したときの手の痛さにビックリしたのを覚えています。新チームから負けなしできていた僕らのチームが、東京大会決勝戦でこの東京中野リトルに負けて全国大会に出られなかった苦い思い出があります。子どもたちは支えてくれるいろいろな人に感謝する心も忘れないで欲しいですね」と、酷暑の中チームをサポートする保護者の姿に目をやり、選手たちにエールを送った。【樫本ゆき】

優勝した東京連盟代表・東京中野リトル。古山雄大監督代行は「この大きな舞台で、子どもたちが最後まで諦めないプレーを見せてくれました」と選手たちをたたえた
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3年ぶりの開催となったMLBカップ。石巻の広い青空の下で、子どもたちのはじけるような笑顔が輝いた
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