3年連続7度目の夏の甲子園出場を目指す九州国際大付が8-3で春の王者、西日本短大付を下し、準々決勝に進出した。今大会初先発のエース藤本海斗投手(3年)が自己最多となる151球を投げて完投。打っても3安打4打点の大活躍で、優勝候補の一角を倒した。

 優勝候補だった九州産、福岡大大濠が早々と姿を消した戦国福岡で5回戦屈指の好カードを制したのは、昨夏の王者、九州国際大付だった。エース藤本が151球の熱投。シーソーゲームだった4回までは、春季九州大会2位の西日本短大付に毎回安打を打たれ、3失点したが、グラブの内側に書かれた言葉を見て奮起。6回以降は安打を許さず、炎天下の戦いを1人で投げ抜いた。

 「3日前くらいからご飯が食べられず、緊張していたが、1球1球覚悟を持って投げた」

 秋季県大会5回戦で東筑に長打を許して逆転負けし、センバツ出場の夢を絶たれた。その後、グラブに刻んだ言葉が「一球の覚悟」。寮の自室のドアにも同じ言葉を紙に書いて貼った。肌で知った教訓を簡単に忘れることはなかった。

 藤本は打っても1点ビハインドの3回2死一、二塁から左中間を破る逆転2点適時二塁打。1点リードで迎えた4回2死二、三塁のチャンスでも左前2点適時打を放ち、塁上でガッツポーズを繰り返した。

 昨夏は4回戦まではベンチ入りも登板はなく、5回戦以降はベンチ外。甲子園もスタンドで応援した。甲子園で8強に進出した14人きょうだいのエース富山(現トヨタ自動車)から大会前に「お前にかかっている。しっかり投げてこい」とメールで激励されたといい「任せて下さいって言うしかないですよ」と笑った。

 楠城徹監督(65)も「藤本1人で頑張ってくれて心強かった。今年は頼れる投手が1人しかいないから7番を打たせているけど、センスや力があって主軸も打てる選手。今日も持ち味の勝負強さが出た」と、投打での活躍をたたえた。

 甲子園まであと3つ。藤本は富山との約束を果たすためにも、覚悟を持ってマウンドに上がる。【福岡吉央】

 ◆藤本海斗(ふじもと・かいと)1998年(平10)5月18日、大分市生まれ。戸次少年野球団で小4から野球を始める。中学時代は大分七瀬ボーイズでプレー。野茂ジャパンにも選ばれた。最速148キロ。目標はDeNA山崎康。180センチ、77キロ。右投げ右打ち。