国学院久我山(西東京)が、井口先輩流の打撃で狛江に7-4で勝利した。3点リードの5回1死二塁、森村陽外野手(2年)が右翼への適時打をマーク。同校のグラウンドは右方向に広く、今季限りで引退を表明したOBのロッテ井口資仁内野手(42)も、右打ちを磨いた。その伝統を引き継ぐ打撃で試合の流れを変えた。井口先輩以来、26年ぶりの夏の甲子園出場に向けて好スタートを切った。

 伝説の先輩の一打のように、打球は右翼に飛んだ。3点リードの5回1死二塁、森村は右方向におっつけ、チーム7点目の適時打を放った。「(体を)しっかりためて、ファウルでもいいから右方向に打とうと思った」。最大5点リードから、3点差に迫られた直後の一打で流れを引き寄せた。

 国学院久我山ナインにとって、「右打ち」はロッテでプレーする井口先輩から脈々と受け継がれる打撃の基本である。同校では、平日の練習は左翼付近のサッカー部とグラウンドを共有するため、打撃練習は本塁方向へのハーフ打撃。だが、井口だけは「引っ張らないので打たせてください」と約束した上で、フリー打撃が許された。

 森村はもちろん、スタンドで応援する1年生も「伝説として、聞いています」と口をそろえた。井口の正確なバットコントロールを証明する話だが、森村は「センターから右に強く打つことを意識してます」と井口流の打撃を意識。小学生の時に試合観戦に訪れ、井口の右翼への本塁打を見たこともあるそうで「憧れます」と目を輝かせた。

 井口先輩の普段の振る舞いも継承する。2安打2打点と活躍した4番・富永直宏内野手(3年)は古文の先生から、井口の勉学への姿勢を聞いた。「分からないことがあったら、絶対に聞いたと。何事も最後までやる方だと聞いた。僕も誰かに聞くようにはしています」と話した。

 夏の甲子園は、井口が2年だった91年の出場を最後に遠ざかる。昨秋はブロック予選の1回戦で敗れ、今春は都大会の1回戦で敗退。「大逆襲」を合言葉に、この夏に懸ける。富永は「みんなで絶対に甲子園に行こうと話をしている。井口さんにも、いい報告ができればいいなと思います」と決意を込めた。引退を表明した先輩に、後輩たちが雄姿を届ける。【久保賢吾】