昨夏の茨城王者、常総学院が雪辱の夏を迎えた。初陣で打線が14安打、9得点と爆発。波崎に9-0の7回コールド勝ちした。打線を引っ張ったのが、1番の陶山勇軌外野手(3年)だった。初回には右前打で出塁。4回には無死一、二塁から左中間への2点適時三塁打を放った。「直前にバントを失敗して打った球なので喜べなかった」。野球に対してどこまでもストイックで、2安打、2打点の活躍にも満足してはいなかった。

 主将も務める陶山は「昨年秋、今年の春と悔しい思いをしたので…」とナインの気持ちを代弁した。昨年の新チーム発足以降、苦戦続きだった。センバツの甲子園につながる昨年10月の県大会では初戦(2回戦)で常磐大高に2-6で敗れ、初戦敗退。今年4月の県大会では2回戦で明秀学園日立に0-7の7回コールド負けを喫した。常勝軍団がかつてないほどの屈辱を味わってきた。

 その悔しさをバネにする。松林康徳部長(32)のアドバイスで、春の県大会後から、練習などでの声の出し方を変えた。「元気出していこう」などと盛り上げるだけの声ではなく、「バウンド見ろ!」「もっと前で捕ろう!」など明確な指示の声を出すようにした。その効果か、練習試合も含め失策数は減り、各選手の課題に対する意識も高まった。

 コールド発進し、陶山は「目の前の試合を戦っていった先に優勝がある」と気を引き締めた。名門が並々ならぬ決意で、2年連続17度目の甲子園を目指す。【戸田月菜】