東海大菅生(西東京)が「4年連続挑戦権」をつかんだ。日大二との準決勝は両校合わせ31安打19得点と乱打戦だったが、最後は松本健吾投手(3年)が締め11-8で振り切った。「絶好調」右腕は3年連続敗退の決勝で、2年前に敗退した早実にリベンジを誓った。

 東海大菅生は6回、5点を失い、なお2死一、二塁のピンチだった。その差1点。若林弘泰監督(51)はたまらず、松本に声をかけた。8回からの登板予定を早めるつもりだった。「どうだ?」。松本が答えた。「絶好調です」。こう言ってマウンドに向かった。

 最初の打者こそ内野安打を許し満塁としたが、動じない。次打者を三ゴロに仕留めピンチを脱した。「嫌な場面でしたが、強気に攻めました。ここで抑えたらヒーローになる、と思って投げました」。25日の準々決勝で強打の日大三を8回0封した右腕は、3回1/3を被安打3、無失点に抑え込んだ。

 頼れる右腕が踏ん張れば打線も呼応する。7回、4番片山昂星一塁手(2年)が右翼席へ運んで、その差を広げた。「まっすぐに体が反応した。打った瞬間、行ったと思った。ジャスト通算20号です」と喜んだ。3回には奥村治、小玉佳吾(ともに3年)が連続本塁打し、4回には松井惇(3年)もソロ本塁打した。5回までに12安打9得点を奪った。それでも詰め寄られる展開を、松本が変え、4年連続の決勝を決めた。

 東海大菅生は2年前、早実に5点リードの8回、一挙8点を奪われ逆転負けした。若林監督が冗談交じりに話した。「(清宮ファンが多い)空気を読める監督といわれました。今度は読まないでやります」。松本も「早実のファンが多いと思うんで、のまれないように投げたい」。2年前はスタンドから声援を送る1年生部員だった。

 試合前、清宮の107号を見た。「甘くない球をしっかり捉え、あの深いところまで。すごいです」。それでも対策はある。「追い込んでからのフォーク、外のまっすぐ。ベストボールをどう使うかです」。松本は初めての対戦を、甲子園で勝つための1歩と捉えて臨む。【米谷輝昭】