<高校野球東兵庫大会:報徳学園1-0長田>◇24日◇準々決勝◇ほっともっとフィールド神戸

 「本当に細かったんですよ」。長田の永井伸哉監督(46)は、入学当時の橋本達弥投手(3年)をそう思い返した。「センスはあった。体が出来上がればという感じだった」。当時の体格176センチ、56キロ。細い体を変えようと努力を重ねた。「朝ご飯の量を増やしたり、2リットルのタッパー飯を早弁したりして、今は76キロになりました」。県立進学校の主軸打者を担う一方、140キロを超える本格派右腕として、プロからも注目される逸材に成長した。

 度重なるケガにも悩まされた。肘や膝を痛めることも多く、今年4月には腰を疲労骨折。6月半ばに復帰したが「腰も痛くて不安だった」。万全とは言えずに迎えた最後の夏。この日、強豪・報徳学園相手に8回を投げ、許した安打は2回の3安打のみで1失点。最速は146キロを記録。「序盤は力んでしまった。小園みたいな高レベルの人とはなかなか対戦できないので、絶対に抑えようと思った」。同じくプロ注目の強打者を4打数無安打と完全に抑え込んだ。

 試合後、小園らから「プロ行くんか」と問われた。「まだわからん」と返したが「甲子園に出たかったので後悔はある。小園とはいつか上の世界で再戦したい」と新たな感情がわき出た。【望月千草】