<高校野球東兵庫大会:報徳学園2-0市尼崎>◇28日◇決勝◇ほっともっとフィールド神戸

 報徳学園の糸井辰徳外野手(3年)は、くりくりした大きな目を輝かせた。「同じ舞台に立てるのはうれしいです」。兄の慎太朗さんが捕手として90回大会で踏んだ夏の聖地。そして、はとこの阪神糸井がホームグラウンドとする場所だ。

 互いの父同士がいとこで、今大会前には「全力でやったらしっかり結果がついてくる。頑張れ。応援してる」とメールをもらった。実は父の電話を通して「頑張れよ」と言葉もかけてもらっていた。エールに応えるように、糸井は2回戦で3打席連続適時打を放つなど大活躍。その後も「ファイト」「応援しとるから頑張れ」とメールをもらった。小学生の頃からプレーを参考にしてきた存在からの、これ以上ない応援だった。

 決勝のこの日は「5番右翼」で先発するも、3三振に倒れるなど無安打だった。糸井は「どこか、硬かったのかな」と苦笑い。それでも「優勝できたのでうれしいです。(甲子園は)ずっと目指してきた場所。兵庫県で負けたチームのためにも日本一を取らないといけない」と頂点へ意気込む。まずは「嘉男さん」に優勝報告のメール。そして同じ甲子園のライトで、伸び伸びプレーする姿を見せる。【磯綾乃】