第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の出場32校を決定する選考会が25日、大阪市内で行われ、「21世紀枠東北推薦校」の古川(宮城)は、選出されなかった。

古川のエース右腕・千坂優斗(2年)が悔し涙を流し、夏の甲子園出場に目標を切り替えた。昇降口前に整列し、金和宏校長(60)から落選を伝えられた時は気丈に振る舞ったが、報道陣を前に「やっぱり悔しいです…」。思いを切り出すと、こらえきれなかった。

昨年12月に「21世紀枠東北推薦校」に選出されて以降、センバツ出場への準備を着々と進めてきた。食事量を増やすだけでなく、フォームの安定感を求めて下半身の筋力強化。体重は昨秋から7キロ増の85キロにパワーアップした。北部地区大会から全11戦中10戦で完投。宮城大会準々決勝では東北に4-3と競り勝ち、57年ぶり出場となった東北大会でも4強入り。理系クラス120人中10番台をキープする「IQ鉄腕」は「1つの目標は失いましたけれど、今よりレベルアップしないといけない。東北の推薦校に選んでいただいたことが自信になっているし、やってきたことは無駄ではない」と前を向いた。

01年に新設された21世紀枠。古川は文武両道の中での短時間集中練習や、東日本大震災や地域災害でのボランティア活動が評価された。東北からは01年の安積(福島)に始まり、過去18年で直近の3年連続を含む11校が選出。宮城も05年一迫商、09年利府、12年石巻工と、全国最多タイの3校。四国4強の富岡西(徳島)に実績では劣っていなかったが、石岡一(茨城)、熊本西は県として初選出でもあり、地域の偏りも考慮された可能性もある。

OBや地域の方々の期待を背負い、積雪の中でも夏に向けて練習を重ねる。仙台育英など強豪集う宮城。千坂は「堂々と渡り合えるように1つ1つ積み重ねなくてはいけない。夏に恩返しできるチャンスはある。次は甲子園を自力でつかむことが自分たちの道。1年夏から負けて泣いてばかりなので、最後はマウンド上で全員でうれし涙を流したい」。投打の軸として、創立122年目の初出場を導く。【鎌田直秀】