16年ぶり出場の桐蔭学園は、甲子園にのまれてしまった。立ち上がりからミスが重なった。主将の森敬斗内野手(3年)は「グラウンドに入った時から、(みんな)ちょっと浮ついてました。冷静さがなかった。全員に(落ち着こうという意識を)浸透させてあげられなかった。キャプテンとしての責任を負わないといけません」と率直に話した。

初回表、先発の伊礼海斗投手(3年)は、先頭にストレートの四球を与えた。際どいコースもあったが、ボールの判定。そこから、2失点につながった。「(昨秋の)神宮大会で負けてから、初回の入りを意識してきました。今日は意識しすぎて、慎重になりすぎました」と悔やんだ。

先制打も、普段とは違う心理状況が生んだ。1死二塁で、啓新の3番・穴水の打球は右翼へライナーで飛んだ。神田一汰外野手(2年)は打球に合わせ、後ろに下がろうとしたが、足を滑らせた。右越えの適時三塁打としてしまった。「打った瞬間、後ろだと思ったのですが」。初めての甲子園は、これまでとは勝手が違った。「後ろ(外野席)にも観客がいる。緊張していたとは思いませんが、気持ちと体が一致しませんでした」と、言葉を絞り出すのがやっとだった。

2回には、無死一塁から投ゴロを捕った伊礼が二塁へ送球するも、間に合わず、野選でピンチを広げた。さらに、無死一、二塁から重盗を決められた。清水聖捕手(3年)は「キャッチングが課題です」と、捕球体勢が悪かったことを反省。この回の1失点につながった。2-3と1点差に追い上げた後の6回には、中堅の冨田健悟外野手(2年)の失策が失点につながり、リードを広げられた。

片桐健一監督(45)は「打線が3点だったことを反省すべき」と、啓新の継投に抑えられたことを挙げた。選手が浮き足だっていたかについては「そうは感じません。今ある力を出せたと思います。練習の成果が出たところ、出なかったところ、両方。収穫の多い試合でした」と振り返った。夏への課題としては、バッテリー強化を挙げた。

最後は「甲子園は景色が全然、違う。良い経験になりました。どういう景色だったか、これから選手とじっくり話したいと思います」と話した。