<高校野球大阪大会:大阪電通大9-0同志社香里>◇18日◇3回戦◇万博記念公園野球場

「駿平、ナイス!」。大声で声援を送ったのは本松文(あや)さん(52)。同志社香里の本松駿平外野手(3年)の母親だ。「試合前に一緒に緊張したりして、第2の青春を送っている感じ」と生き生きとした表情で試合を見つめた。

文さんは2人の息子を育てるシングルマザーだ。普段から全力で息子たちに向き合っている。実は昨夏、本松は大阪大会に出場できなかった。学校の成績が下がったため、同校の規定に抵触した。「もっと関わってあげていたら」と母は悔やんだ。昨年4月には左手首を捻挫し、春は満足に試合に出場できなかった。その間、バッティングセンターで練習をした後に、自宅でも練習した。文さんがバドミントンのシャトルを投げ、本松が打つという練習だ。毎日200球、約3カ月続けた。「子供と一緒にいる時間は限られてる。思いっきり、子供に関わりたい」。二人三脚の日々だった。

試合は0-9で大阪電通大高に7回コールド負け。本松は2打数無安打で6回に交代した。「3年間ありがとう。打てなくてごめん…」。最愛の息子は涙を浮かべ、感謝を伝えた。全力で3年間を駆け抜けた母も「よう、がんばったで…」と言葉を詰まらせた。【南谷竜則】