大阪府内屈指の進学校、北野が、3-0で千里青雲を下し、4回戦に駒を進めた。先発の右腕、古本純大投手(こもと・じゅんだい=3年)が9回3安打で完封。雨の中での快投だったが、足場が悪くなった場合の練習を重ねてきた“予習”を生かしたものだった。

土砂降りの中での戦いも、古本は冷静だった。9回3安打4奪三振での完封。4回から5イニングは無安打。9回に1死一、二塁と走者を背負ったが、しっかりと後続を打ち取った。渡辺健士監督(29)も「これ(雨の中での試合)が夏の戦い。練習時に雨が降ってきてもグランドで練習した成果が出た。古本はよく粘ってくれた」と目を細める好投だった。

悪条件での戦いは予習済み。足場が悪くなったとき、古本は踏み出す足の歩幅を半歩分狭めての投球練習を重ねてきた。エース右腕は「(雨のとき歩幅を狭めるのは)悪くなった足場で滑らないように。雨の日の工夫した練習が生きた」と効果を実感した。

秀才投手の朝は早い。5時に起床。10分ほどで準備を済ませ、そこから1時間勉強し、学校に向かう。野球の朝練習にも汗を流す。練習が午後6時に終われば最近通い始めた塾に直行。午後10時までみっちりと勉強し、1日を終える。

朝食の時間もペンを持ち続ける古本には夢がある。「大学では医学部に進んで、がんについて研究がしたい」。理由は家族。中学3年のときに祖母をがんで亡くした。祖父も今は落ち着いているが、がんを患っていたという。

「大阪市立大学の医療研究は進んでいると聞いている。そこで勉強がしたい」と古本。勉強と野球の二刀流をやり遂げる。【松本直也】